ユウイチ・トノシロの朝まで生語り ~ADIの話をしよう~

僕の名前はおもしろマイスターTEN。

古今東西あらゆる"おもしろ"に反応していく、野次馬系お笑い好きだ。

南に薩摩のダンサーあれば、行ってそのファウルボールを受け、
北に異邦のメドベージェフボブあれば、行ってハラショーと唱える。

そんな僕には常日頃から見ることを欠かせない、お気に入りの番組がある。
そのチャンネルを、iTVという。
番組の名前にもなっている司会の板さんのトークは、圧巻の一言。
教養をチラ見せしながらもマシンガンのように放たれる小ネタが特徴的で、
これには僕も思わずほおが緩んでしまう。

疲れて帰って来た日はソファに倒れ込みながらこの番組を眺めるのが、
なんてことない僕の、ささやかな日課だ。

しかしその日は違った。
司会の板さんが本業のジャッジ集めに手間取られ、番組は延期だという。

他に観る番組なんて・・うーん・・・
魂の抜けたように手近な新聞を繰る僕の目に、興味をひく名前が止まった。
”トノシロユウイチ”・・・?
なんでも板さんと出身を同じくする男で、一年生を中心に着実に人気を伸ばしている新進気鋭の語り手という。
へぇ・・・ちょっと気になるな。


そう呟いて、僕は静かにチャンネルを回した。


ユウイチ・トノシロの朝まで語り ~今日の議題はADI~
寒空高き今宵の闇を、最高速度で駆け巡る。


(編集部注 本番組は10月末日に収録されたものです。)
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はいどうもこんにちはー。UTDS 1年生の登野城裕一と申します。もう11月も近づいてきて、めっきり気温も下がり、僕が毎日のように人に会う度に「寒い!絶滅する!俺という種が絶える!」とダル絡みする季節になって参りました。が、しかしそんなことは意にも介さず、夏真っ盛りに韓国で行われたADIの報告をさせていただきます。感想を書くのが遅くなってしまい、先輩方に多大なる迷惑をかけたことは深く反省しております。ええ、しておりますとも。 何はともあれ感想文を書いていきたいと思いますが、一点だけ先に書かせてください。この感想文は来年の1年生がADIに行く前に少しでも参考になるように、ということを目的にしています。しかし、それと同時に自分のためでもあります。ここ最近ディベートに関して感じているモヤモヤを、ADI中に自分が何を思ったのか、目指していたのかを述べることで一旦リセットさせたいというのが正直なところです。ですから、この感想文は割と自分本意な理由で書かれていて、不必要に長くなるとも思います。その点ご容赦頂けたら幸いです。あとじゃがりこ食べながらですいません。 


ADI

ADIにはUTDSの1年生も多く参加すると聞き、ノリで参加を決めた僕でしたが、正直出発の3日程前から後悔しかしていませんでした。「やって後悔する」という最悪のパターン(ちなみに僕は「やらないで後悔するよりやって後悔する方がマシ」という格言には、嘘も大概にしろよとしか思っていません)。9日間もディベート漬けの毎日に自分が耐えられるのか、レクチャーについていけるのか、とても不安でした。それでもADIが終わる頃には「来て良かった!」と思えるようにしたい、と旅立ちの朝には気持ちを切り替えていました。 ところで僕のように旅慣れておらず、海外旅行も初めて、というような状況ですと何をするにもにっちもさっちも行きません。基本的に浅野君に金魚のフンの様について回り、なんとか韓国まで無事辿り着くことが出来ました。感謝感謝。 韓国のホテルに到着し、チェックインを終えると、なんと同じ部屋に僕が高校生の時から敬愛するKuzKazuma Iida先輩がいらっしゃることがわかりました。今でこそよく駒場練(冷静に考えるとおかしい。彼は京大生だ。)や大会でお会いしますが、この時は久しぶりに会えるということでかなりテンションが上がったことを覚えています。 その後UTDSで夕食を食べに行ったのですが、そこで食べたプルコギが本当に美味しかった!もう既に「ADIに来て良かった!」と思えました。 


ADI ~ラボ分けまで~

1日目はBPに関する基本的な部分のレクチャーでした。closingのチームは常にnewであれ!や、extensionそのものより何故そのextensionが大切なのかを話せ!などシンプルだけど大切なことを学べたと思います。 2日目はラボ分けのための試合。ところがペアを組むときに問題発生。グループの中で相方が決まってない日本からの参加者が3(僕、張君、KDSの家村さん)しかおらず、誰か1人が他国からの参加者と組まなくてはならなくなりました。それが意味するのは英語でのプレパ。本来ならじゃんけんなどで決めるべきところなのですが、ここでは英語が3人の中で最も喋れるであろう張君に犠牲になってもらいました。その節は本当に申し訳なかったと思っています。あとその時に「能力がある人がそれゆえに虐げられるイラストレーションに使えそうだな」とか思っていたのも申し訳ない。 そんなこんなでテストディベートに臨みまして、初めて組むパートナーと慣れないプレパをしながらも、試合では実力を遺憾なく発揮することができました。その結果見事α3クラスに入ることが出来ました!ちなみに1番下のクラスです。かっこう。 僕としては試合で特に出来が悪かったということもなく、実力が出せたと思っているので、特に悔しいというのもなかったです。…というのはさすがに嘘ですね、やはり実力が出せたからこそ少しだけ悔しさはありました(余談ですが、普段から自分に何も期待を持たないようにしておくと、こうゆう時に傷が浅くて済みます)。でも逆に考えれば、ここからは成長しかないわけで、高校の時には伸び代裕一と呼ばれていたじゃないか!と自分を奮い立たせました。 


ADI ~ラボでの4日間~

無事α3に振り分けられた僕でしたが、レクチャーの内容は本当にαクラスか、と思うほどレベルが高かったです。本当に色々なことを学べた貴重な4日間でした。そのときにレクチャラーが使ったスライドを撮って、写真をよく見返していますが、そのときには理解出来なかった部分が今になってやっとわかったりと、読むたびに発見があります。その他にもレクチャラーによるモデルディベートを見たり、選択制のレクチャーを聞きに行ったりと非常に濃い日々でした。 レクチャーの最後の日にはα1クラスと合同で試合を行いました。そのとき、KDSの高瀬君のスピーチに一目惚れ(一耳惚れ?)し、その日の夜にLINEで一緒に組まないかとお願いしたところ、二つ返事で引き受けてくれたので、僕のパートナー探しは難航することなく終えることが出来ました。breakするぞ!と二人で決意し(覚えてないけど多分した)、次の日の大会へと気持ちを引き締めたのでした。 ところでところで、ここからが本題なのですが、昼ごはんの話です。ADI中は多くの人が学食を利用していましたが、僕は校内にあるハンバーガー屋さんを毎日の様に利用していました。味は完全にマ○ク!でもマッ○より安い!あと○ックにはないであろうプルコギバーガーなるものもある!ダブルチーズバーガーが2500ウォン!スプライトの日本でのLサイズくらいのやつが500ウォン!僕のように「体に悪いものをそう自覚しながら食べることに対して快感を覚える」タイプには最高でしたね(夜にポテチ食べるそこのアナタ、僕と同じタイプです)。「ADIに来て良かった!」と強く思いました。ふざけてると思われるかもしれませんが、日々の食事はダイレクトにその日の集中力に直結します。レクチャーへの態度にも影響するのです。ですからここで食事について述べるのに正当性がないと言えるだろうか、いや言えない。そうゆうことなんですよ(キリッ 


「ウチら、相性バツグンや!」
韓国の地でチーム電撃結成だ。



ADI ~大会~

kimuchi loversというふざけたチーム名で出場登録をした僕らですが、we don't like kimuchiという同じくらいふざけたチームがあったので安心しました。 1試合目:THW cut funding to secondary school for low graduate rates なんと最初の試合でそのチームと当たることになり、運営側の遊び心を感じました。ポジションはCOでしたが、OOと全く同じ事しか言えず、結果は4位でした。 2試合目:TH regrets the rise of the political discussion in social media. まさかの2回目のwe don't like kimuchi。まあそれはおいといて、このときはCGでしたが、僕は政治家が発言するのをregretしてるのかなーと思っていましたが、OGが「一般人の発言に限定します」とモデルで述べたため完全にパニックに。建て直せずに結果3位でした。 ここで1日目が終了。持ち点は3点。breakするには今年は7点ほど必要だろうという噂が流れていたため、少し落ち込みながらも、明日頑張ろうと互いに励ましつつ帰路に着きました。そして大会は2日目へ… 3試合目:TH,as a minority group, supports widespread positive but inaccurate depiction of culture in a mainstream media. 3度目のwe don't like kimuchiでしたが、僕たちはOGだったので驚く暇もありませんでした。今見返すと驚くほどメカニズムの詰まってないargumentでしたが、なんとか1位を取ることが出来ました。 4試合目:THW torture terrorist for information. 今大会で1番僕の印象に残ったroundでした。チームのアロケーションが発表されたとき、問題はwe don't like kimuchiがいたこと(運営側遊びすぎ問題)よりも、関君のチームがいたことでした。彼は高校の時から名を馳せていたディベーターなので、試合前からかなり弱気になってしまいました。しかし、発表されたこのモーションは既に駒場練でやったことがあったのです。「このモーション、駒場練でやったことある!」と進○ゼミみたいな展開に興奮しつつ、そのときに先輩から学んだことをプレパで共有できたことで、見事1位を取ることが出来ました。復習の大切さが身に染みた試合でした。 結果として9点獲得し、リーグの6位でbreakすることが出来ました。僕としては本当に快挙だったので、純粋に嬉しかったです。高瀬君に感謝しっぱなしでした。 Oct Final:THW allow children to sue parents for past negligence in raising the children. break roundということで急にレベルが高く感じ、正直どのチームにも歯が立ちませんでした。初戦敗退でした。 


今年も今年で圧倒的男子校。



ADI ~大会後~

試合は敗退したものの、大会を終えてみて思ったのは、自分は少なくとも少しはADI中に成長したな、ということでした。気のせいかもしれませんが、気のせいでもADIに参加する前より強くなれたと思えただけで満足でした。それに加えて、この感想文では詳細を省いたものの、ADI中に他大の人達や何よりUTDSのメンバーと交流を深められたのは大きな成果でした。それらを考えると、文句なしに「来て良かった!」。 


一年生諸君、ズッ友たれ。



6 あとがき的なもの

本当にアホみたいに長い文章になってしまって申し訳ないです。如何せん10日間もあったので…。もう少しだけ続きます。 ADIから帰ってきてからもう2ヶ月半近くが経ちます。あのときに感じた高揚も、この感想文を書くまで薄れてしまっていました。これは前から思っていることなのですが、正直に言って、僕は他のどのUTDSのメンバーよりディベートが嫌いであると思っています。ディベートをしていて楽しかったことより、ディベートで経験した辛いことの方が多い。QDOでパートナーの足を引っ張りまくりbreak落ちしたり、銀杏杯でとんでもないミスをして負けたり、それで何年かぶりに悔しくて泣いたり、紅葉杯では知識不足でラウンド全体のレベルを下げたり、と。それでも僕がディベートを続ける理由は何だろうな、と考えた結果とりあえず思い付いたことを述べます。 1つ目として、僕は普段口が裂けてもこの類のことは言わないのですが、やはりUTDSのメンバーが好きだからだと思います。大会や練習の度に落ち込んでるめんどくさい僕に、同期の人達は「ディベートはチームプレーだから勝つも負けるも2人のせいだしおかげ」と慰めてくれます。これは本当に負担を軽減してくれました。心に留めたい言葉です(まあでも自分のチームに反論したら1人のせいで負けることができますね!)。他にも銀杏杯のときに落ち込んでいたときに栗原先輩が「悲しむ暇があるなら次の試合で勝つように頑張れ、リフレクを聞きに行ってこい」と背中を(文字通り)押してくれたとき、また泣きそうになったりしていました。 2つ目に、やはりディベートが楽しいからです。上手くスピーチ出来たとき、自分が成長していると思えるとき、ディベートは非常に楽しいです。ADIのときのように。しかしそのためには多かれ少なかれ自主練が必要になります。音源を聴いたり、マターをまとめたり、復習ノートを作ったり、ケーススタディーやラウンド練をしたりといったことです。もちろん普段の練習でも成長できると思いますが、急速に成長する皆と競っていくには、ということです。しかしそれはもちろん手間も時間もかかることでもあります。それでも皆は向上心や、試合に負けた悔しさをバネにそれらをこなしていきます。それなのにそういった手間を僕は面倒だと思い、結果として何をするかというと、本文でも述べていた通り、自分への期待を持たないという行動を取ります。それによって、感じる悔しさを軽減させようという思いがある、と思います。自分に期待しない、自分を出来るだけ低く評価しようとするというのは一見自分に厳しいように見えますが、本当は全く逆だと最近は思います。それは単に自分のパフォーマンスの拙さを正当化しようとする言い訳でしかありません。自分を甘やかしているだけです。今僕に必要なことは、ある程度自分に自信を持ち、より向上心やバネになるような悔しさを感じることだと思います。そして自主練に向かう。そうあるべきだと感じています。 そうしてゴールとして向かうのは、ディベートを心から好きだと言える自分です。これからも悩むことの多いであろう僕ですが、見守っていただけたら幸いです。先輩方にもこれからまだご迷惑おかけすると思いますが、よろしくお願いします。 そんなことを空になったじゃがりこのカップと明るくなってくる空を見ながら思うのでした。完徹。


そんなこんなで夜は明ける。





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これはまた、実に面白い。
真っ暗になったテレビ画面と、明るくなってきた空を見上げながら僕はひとりごちる。
何の気なしにつけた番組の思わぬ発見に笑みを浮かべていると、外のポストでガタッと物音がした。

あぁ。もう新聞が届く時間か。
僕は寝ずに迎えてしまったあくる日の苦難を思い浮かべ、思考を逸らそうと届きたての新聞を取りに向かう。
板さんの名前を探していると、ふと見知った名前が目に留まる。

iTV道場門下生、イワモト・・・?


また眠れない夜になりそうだ。

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