Icho Cup 2020 報告&感想

皆さんお久しぶりです!ブログ担当の谷です。更新が大変遅滞しており申し訳ありませんでした。では早速、今回は102425日に開催された銀杏杯について更新したいと思います!
 

チーム紹介

Luana: My deputy is, of course, also me!Luana Ichinose (Joint)

【ひまわり】Asahi Nakano (Joint)

【牛レバー】Haruka Sawazaki, Takeshi Matsuda

 

ジャッジ紹介

Yutaro Kuriharaさん

Kana Ishikawa

Tota Takahashi

 

コミ&AC紹介

Adjudication Core

Chief Adjudicator: Tota Takahashi

Deputy Chief Adjudicator: Kana Ishikawa

Organizing Comittee

Tournament Director: Koki Yoshioka

Vice Tournamet Director: Ryosuke Yoshida

Tournament Coordinator: Atsuki Ito

Tabulation Director: Rei Toyama, Yechan Park

Financial Director: Jiachen Li

Media Director: Xianshang Gu, Kana Ishikawa

Communication Director: Yutian Gao

 

チームプライズ

Pearl Champion
Luana: My deputy is, of course, also me! (Luana Ichinose joint)
 

Pearl Grand Final Best Speaker
Luana Ichinose
 

Pearl Semi Finalist
牛レバー(Haruka Sawazaki, Takeshi Matsuda)
 

Diamond Quarter Finalist
ひまわり(Asahi Nakano joint)

 

スピーカープライズ

2nd Best Speaker
Luana Ichinose
 

3rd Best Speaker
Haruka Sawazaki
 

9th Best Speaker
Takeshi Matsuda

 

ジャッジプライズ

Best Adjudicator

Yutaro Kuriharaさん

Ryosuke Yoshida

優勝した皆さん、おめでとうございます!

 

感想

今回はチャンピオンのルアナさんに感想を書いていただきました!以下ご覧ください!

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初めまして!UTDS 1年の一瀬ルアナと申します。

UTDSに入ってはや半年以上ですが、多くの憧れの先輩が所属しているUTDSの一員になることができ、大変嬉しく思っております。

さて、この度KDS 1年の服部くんと共に1年生NA大会の銀杏杯に出場させていただきました。結果として

l  優勝

l  2nd Best Speaker

l  Grand Final Best Speaker

をいただきました。

 

まず、銀杏杯の運営に携わったコミやAC陣の方々、ジャッジの皆さんに深く感謝いたします。Discordの運用やモーションのセンス等々、スムーズな運営の模範となるような大会でしたし、特殊な環境下でも大会の機会をくださったことに対する尊敬は止みません。

 

チーム名はLuana: My deputy is, of course, also me!という不思議なものでした。GFで言う予定だったのですが機会を逃して残念です。元ネタはSNL2016年のコントでのヒラリー・クリントンの”My Vice President is, of course, also me”というセリフです。こーまくんのノリが良くて最高でした。

 

ちなみにラウンドが終わってから始まるまでの間はDiscordの音楽機能で音楽を流していました。通知が煩くてすみません。マイメロの主題歌やホグワーツの校歌などでテンアゲしていました。遼介先輩やとーたさんの方が随分センスが良くて、きっと音楽の神は私ではなく彼らに微笑んでいるのだろう、と思いました。

 

とりあえずモーション別のケースと振り返りをしようかと思います。勿論これは私の稚拙な思考に基づくものであり、これより優れたアーギュメントはたくさんあると思いますが、一個人の体験談として記録に残しておきます。

 

R1 THW allow students to choose their teachers. (GOV)

ケースとしてはより居心地の良い学習環境になること先生の人気・不人気を客観的に把握することで能力ベースの昇給などが可能になること、を言いました。

工夫した点はメインポイントのなかに、「サボる(楽単ばかり取る)ことも正当である」というリーズニングを入れたことです。例えば家業を継ぎ、大学には進学しないことが100%決定されている場合、わざわざ進学する生徒向けの難しい授業を取る必要はありません。むしろその場合は楽単を選んで、空いた時間を使って仕事の技術を磨いた方が合理的でしょう。この論理は、OPPから来ると想定した(そして実際に来た)「子供がサボっちゃって大変」ケースのpreemptionとしてある程度はワークしたと評価しています。

 

R2 THW give more votes to the young. (OPP)

プリンシプル()となった試合でした。プラで押し通せるならしたいものでしたが、無理だろうと判断した上での謎プリンシプル導入!の流れでした。非常にクロースで勝てましたが多くの後悔が残ります。

ケースは、お年寄りは年金などのイシューに関しては政府の判断に依存しているので、このような形で票が弱まるのは可哀想である、という話がメインでした。いかにも証明しにくそうですね。GOVは、高齢化社会においては若年層がマイノリティであり絶対的敗者となる、みたいなよく見るケースでした。ジャッジさんによると、最終的に我々が「この論理は高齢化社会にしか当てはまらない」と指摘したことが勝ちにつながったとのことですが、正直どういう勝ち方が正しかったのかは未だによくわかってません。お年寄りも同じぐらい大事!という話をしても、お年寄りと若者がせいぜい対等な立場になるだけで、「どうしてお年寄りの意見しか反映されないような現状を維持すべきなのか」というworst case clashを回避できないと思うので。

今のところ脳内のヒントとしては「n年後には票数が半減する若年層にアピールする政治家」「若者が求めるようなPolicyの特徴」などがありますが未完成思考です。アイデアがある方は教えてください。

 

R3 THW criminalize gang membership. (OPP)

メインケースとしては「ギャングは家族や福祉などに頼れない社会的弱者の受け皿であり、このモーションをとるとそのような弱者がメリットを享受できなくなる。確かに組織的犯罪の助長であるが、それらによる利益はメンバーが個人的に小規模犯罪に手を染めることを防止している。」ということを言いました。窃盗などの小規模犯罪>麻薬流通などの大規模犯罪というのは一見counterintuitiveな感じですが、個人が日常レベルで感じる恐怖感や、犯罪者が被害に遭うことvs罪責なき庶民が巻き込まれることなどの比較を通して建てようとした気がします(成功したかは不明)。

それに付随する形としてcriminalizeしちゃうとunderground化して検挙しにくいそんな末端の小物にリソースを割くよりは、隠れ親分の麻薬担当大臣みたいな大物を捕まえた方が良くない?というケースを出しました。いずれも相手の議論に真っ向からぶつかる形で設定しました。は相手の「でもギャングは悪いことしてる!」論に対するpreemptionは捜査の有効性ポイントに対するダウト、は相手のゴールのバリューフリップです。実際に綺麗にぶつかったので戦略には割と満足しています。

 

R4 THBT all public servants should have the right to strike. (GOV)

ケースは公務員にも労働条件の改善を求める権利は存在することストライキによって実際に労働状況の改善を望めること、にしました。工夫した点としてはa) 就職時の幻想や景気変動による条件悪化などをイラストすることでconsentに対する論点をpreemptすること b) 公務員は経済的利益を直接生む存在ではない(彼らの価値は国民の生活を守ることにある)ため、国民に迷惑をかけないと政府・政治家は公務員の労働条件を改善しようと思わない、という形でOPPメインケースであろう「国民が困る」ポイントをフリップすることです。ストラクチャーを綺麗にできなくて反省しています。

また、相手チームが「上級公務員と軍隊だけダメ」という少し捻ったスタンスで来たので焦りました。個人的には絶対やらない感じのテクニカルなスタンスなのでどういう対応をすべきか困りましたが、最終的に思いついたのは「この人たちが本当にそんなに大事なら、労働条件悪すぎて戦争とかの途中に辞職されるよりは、交渉のツールとしてストライキを持たせておいて、より長く働いてもらう方がいいんじゃないの?」でした。でもリプライから出したのでちょっと遅かったです。ぴえん。

ブレイクラウンドについては割と省略気味に書きます。

QFTHBT the headmaster of Hogwarts should abolish the house system (OPP)

生徒の生活を統制するためのシステムハーマイオニーみたいなマイノリティ生徒にとってのsocial capitalみたいなことを話しました。面白いモーションなのは間違いないのですが、こういうモーションってジャッジに対してどれくらい作品を説明するべきなのかめっちゃ迷いませんか??本当にARPだったら「そもそもハリー、ロン、ハーマイオニーはグリフィンドールで一緒で」みたいなレベルからやる必要がある気がしますが、割と省略気味で話してしまいました。幸いわかってくれた感じはあったのですがハリーポッターならまだしも、「THas 炭太郎、would…」みたいなモーションが出たら泣いちゃう自信はあります。

 

SF: THBT all social media should be completely demetricated. (GOV)

相手チームがUTDS牛レバーで「負けられない試合」感強めでした。

ケースとしては劣等感が辛みめっちゃコンテンツ作り頑張っている作り手が、botとか芸能人の低レベコンテンツに負けちゃう世界が最悪すぎる みたいな話をしました。そこでLOを聴き始めたら、なんとマイノリティのsocial movementの話を始めるではありませんか!!!圧倒的に戦略が食い違ったことに焦りつつ、モラハイを取られないようにもがくしかない感じでした。牛レバーに勝ててとても光栄。

 

GF: THS a permanent move to online tertiary education. (GOV)

なんと相手は渋渋の後輩(2個下と3個下)でした。後輩の成長と積極性にただただ感心しつつ、牛レバーとは違った意味で「負けたらやばい」と感じ、胃が痛かったです。結論としてはなんとかaccessibilityを押し通せたような気がしましたが、相手にもっと強く「放送大学あるじゃん!」とか言われていたらケースが崩壊していたような気がしなくもありません。もっと早めの反論とコンパリを意識したい。試合終わった頃には疲れすぎて魂抜けてました。笑

 

以上、簡単な振り返りでした。こうやって考えると、自分がケース作る上での1番の目的は相手の一番強い議論と真っ向からぶつかるメインケースを作ることなのだと思います。戦略性を明確に意識できるようになったことが、ただ高速で言葉を吐いていた中高時代との最も大きな違いなのかもしれません。この成長には多くの方が貢献してくださいました。あえてパズル感覚で名前は伏せますが、「ディベート=フリップ」「ディベートはファーストで終わらせる」「ディベート=トレードオフ」を教えてくださった御三方には特に感謝しています。当ててみてください。

 

少し話は変わりますが、どんなに強いディベーターのスピーチを聞いても、「難しすぎて全くわからない」となることは滅多にないですよね。駆け出しの頃()は「なーんだ、世界勝者でもこんなもんなのか」と若干落胆した覚えがあります()。でも、そこで調子に乗って真似をしようと思っても、いいケースが思い浮かばないのです。言われれば分かるのに。恐らく、強いケースって石油みたいな感じで、掘れば出てくるのにどこ掘るか分からなければ無意味なのだと思います。その「掘る場所を当てる」過程が戦略性であり、個人的にはここを頑張るステージに来ているような気がします。

 

次に出る予定の大会は遼介先輩とのOxford IVNEADCです。そろそろ大会の合間にもディベート練習しないとなあと思いつつ、来年の春には引退予定(n回目)なので悔いのないように冬のディベートシーズンを駆け抜けていきたいと思います。

 

では、これくらいで筆を置かせていただきます。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

 

一瀬

 



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