オーストラル感想

 どうもみなさんおはこんばんにちは、山岸です!しばらくぶりですね!実は7月に関東で行われる大会はなく、我が故郷名古屋で行われるK-Cupには試験の都合上Tokyoからの出場は無かったので記事にできることがあまりなく、、、そう、今は試験期間なんですね。これまでとりあえず試験前は勉強するもんだと思って一応勉強してたんですが、今学期はあまり勉強する気の起きていないブログ担当であります。「高い点数を取ることに何の意味があるんだろうか」という、普通中学か高校で抱くようなつまらん疑問を持ち始めてしまったわけです。うちの優秀な同期たちはみんなまじめに勉強しているので、自分もやらんとなぁとか思いながらだらだら過ごしている今日この頃です。
 さて僕のくだらん近況報告は置いといて、今回は院2年生の石河先輩がオーストラルの感想文を書いてくださいました!!!オーストラルは正式名称をThe Australasian InterVarsity Debating Championshipsといい、オーストラリア圏を中心とした強豪校がひしめき合うトップクラスの大会となっています。試合形式はAsian-Styleに似た3対3で、POI無しで一人8分スピーチですね。今年はニュージーランドのオタゴで6月29日から7月7日にかけて行われました!
 Tokyoからは石河先輩、加藤先輩、川井のチームが出場しました。院生といえども活発にディベートされている石河先輩が今大会を通してどのようなことを感じたのかをうかがってみましょう!




「セニョリータ、僕と踊らないかい?」
こんにちは、薬学部6年の石河です。最近キャラ崩壊が懸念されるイケメンブログ担当より記事を依頼されて、今回はオーストラル参加について書かせて頂きます。

オーストラルは、個人的に一度は参加してみたい大会でした。ディベートをやっているからには、BPの一番大きな大会であるWorlds3on3の一番大きな大会であるAustralsは経験してみたいと考えていました。来年は国家試験もあったりで、国際大会には行けないだろうし、3on3の集大成にしたいとも思っていました。

勝手な思い入れで参加を熱望していたわけですが、7月上旬ということで試験等と重なっている人も多く、チームを組むにあたっては少し難しいものがありました。最終的には暇な上級生の僕と加藤に、心優しい川井さんが一緒に付き合ってくれることになりました。お忙しいところ、本当にありがとうございました。

加藤と川井さんはUADCに行くということもあり、僕はその間に中東のリサーチをしていました。が、結局、予選では1つも出ませんでした。つらい。まぁ、いつか役に立つでしょう()

ジェミニ後ぐらいからチームとしてプレパ練やラウンド練をするようになりました。ラウンドではプレパ中に加藤(と僕)が詰め込んだ内容を川井さんが1stで分かりやすく説明して戻ってくるので、川井さんの情報処理能力の高さに驚かされました。プレパ練ではhate speechAtheistについて全然分かっていないことが判明するといったトラブル(?)もありましたが、プレパ中の役割分担もはっきりするようになってきました。僕は3rdということもあり、キャラクターをMECEに洗い出したり、相手の一番強い話への対応を考えたりすることとなりました。関係ないですが、MECEいいですよ。まだ分析していないアクターがいないかなど考えるのに役立つと思います。詳しくはMr.Xに聞いてください(丸投げ)

川井さんのハイスペックに恐怖を覚えた僕はオーストラルでの目標を

1. Main Break

2. プレパで価値を出す。

3. Speaker Scoreで川井さんに負けない()

と決めました。
いつもの
 
いよいよニュージランドに行くのですが、南半球の7月は冬です。

コートを持っていったところ、トランジットのオークランドではコートを羽織ればちょうどいいぐらいでした。が、オークランドよりさらに飛行機で2時間ほど南下。ダニーデンに着くと、寒い。川井さんのホッカイロが大活躍していました。気候についてはよく調べないといけないなと痛感しました。

翌日のブリーフィングは疲れをとるためにスルーし、要点をメルボルン大学のHeyshiroに教えてもらいました。その節はありがとうございました。おかげで3人ともよく寝ることができました。

1日からラウンドが始まりましたが、正直とてもアウェイでした。日本勢はTokyo以外にICUだけでしたし、アジア勢もNUSなど数大学しかいなかったと思います。他は白人ばかりでした。それでもディベートになれば関係ないだろうと思い直し、ラウンドに臨みました。
なるほどこういうことですね



まずはラウンドベースに簡単に振り返りたいと思います。

Day1

Round 1 (Aff, lose)

That the West should not import food from nations with chronic food shortages

加藤がICUTでやったことがあるということで自信もって1にしたら、相手も1。不穏な空気を感じつつラウンドに臨むと、Negからwin-winContextを押されて対応しきれず敗北。Affの食糧が人々の手に渡るプロセスが詰まってなかったところも痛かったようです。

Round 2 (Neg, lose)

That we should eject sporting teams from international competitions if their fans are found to have committed racist/sexist/queerphobic etc acts during matches

僕がESUJで似たモーションをやったこともあって、プレパはそれなりに上手くいきましたが、オールで敗北。Afffanはこの方法でないと動かないというユニークネスを詰めていたのに対して、Negのモデルでも同じぐらい働いているところやinternational competitionsに参加できないharmを描ききれませんでした。

Round 3 (Neg, win)

That we should promote the notion that the decision to have a child is a selfish one

ぱっと見、なんだこれってモーションでしたが、他にvetoを使ってしまい、やることに。プレパは錯綜しましたが、abortするといった選択よりselfishじゃないし、子供のことを考えているケースがほとんどといったことを押しました。Affの子供を物のように扱ったり、子供を持つ以外の選択が差別されたりしているという主張に対して、いろいろなlifestylepromoteするというNegのモデルをきっちり示し、相手の子供を酷使するキャラクターが少ないと見せることができた点が評価され勝利。

やっと勝てたー、やったーっと浮かれてしまい、翌日の悲劇を招いてしまうことに。
小顔ピースがはやりつつある昨今のUT

Day2

Round 4 (Aff, lose)

That developed nations should pay developing nations to not extract their fossil fuel resources (coal, gas, oil)

Affのモデルで途上国内の仕事を作っていくというプロセスを具体的に示しきれず敗北。Negから指摘されてしまったが、fossil fuel resourceの採掘で環境破壊が進むというのはロジックジャンプでユニークネスが不足してしまいました。前日のラウンドでモデルのメカニズムの重要性は認識していたのに、きちんと復習しなかったがために悔いの残る負けとなりました。

Round 5 (Neg, win)

That corporations should be allowed to vote

会社と市民の違いとNegのモデル(lobbyingなど)でバランスを取ることができていることを示しきれ、勝利。ただ、democracyが何を目指しているのかのnuanceを示しきれなかったり、Impactにまで落とし切れていなかったりと課題もありました。

Round 6 (Aff, lose)

That couples should be able to enter relationship contracts which make any future infidelity a state-enforced crime

プレパ中、NegHarmが分からず、困りました。結局、consentできないケースや女性が強制されるというケースに対応できず、またcontractという言葉からopt outできるように設定しましたが結果的に自分たちのinfidelityは悪いものという部分を弱めてしまい、敗北。自分たちのContextの方が多いといった見せ方をしないといけないと思いました。

 
4敗してしまい目標1Main Breakはあっさり達成不可能となってしまい意気消沈もしましたが、同時に力不足であるということも感じました。
南には怪物がいましたね・・・

 
Day3

Round 7 (Neg, win)

That ransoms should not be paid to Boko Haram

現在の命を犠牲にして将来の人を守ってはいけないPrincipleを守り切ることができて、勝利。相手のケースを想定できたところが良かったと思います。ちなみに加藤は自己満が評価されて、ご機嫌でした。

Round 8 (Aff, lose)

That the feminist movement should exclude activists who argue that transwomen are not women

Principleとしてactivistsを優先するか、transwomenを優先するかで tieに持っていかれ、Practicalinclusiveな方がいいという主張を越えることができず、敗北。Silentなので若干ざっくりですが、相手のPrincipleともっと比べることが大切だと指摘されました。

 
結局、Breakどころか35敗と負け越すこととなりました。
美しい街並み

 
大会を通じて感じたことをまとめたいと思います。

1. ディベートについて

まず、ディベートとジャッジの質が本当に高いと感じました。普段の大会なら負けてしまうと、次の対戦相手は少し弱くなるものだと思います。しかし、負けても相手は強くオーストラルに参加しているオセアニアの層の厚さを感じました。MonashSydneyは日本でも広く知られていますが、他にもMelbourneANUAucklandなどなど強豪校がひしめいていました。Round1で当たったCanterbury1Round6ぐらいでMonash1に当っていて大会全体のレベルの高さを感じました。また、特にジャッジの質は高かったです。両サイドのBurdenがとてもフェアであると思いました。Round2では、直感的に分かるだろうと思ったファンを罰すればいいというモデルも相手とどちらの方がより説明したのかという観点で判断されていると思いました。ネガティブフィアットはなく、NegAffと同じ証明責任を背負っていると感じました。また、フィードバックでも細かく教えてくれ、質の高さを感じました。例えば、Round3ではStructureからHarmのイラストの仕方まで細かくアドバイスをもらいました。説明したと思っていたLogicstep by stepで見ていくとこの部分が欠けていると指摘されたこともありました。

ジャッジングについて細かく見ていくと、お互いのモデルを比べることが強く求められました。相手のモデルとの違いからLogicを組み立てたり、相手のモデルと同じだけの効果をこちらのモデルでも達成できることを示したりすることが必要でした。つまり、例えばHow our model works?ではなく、How our model works better than their model?(他の部分で勝つなら同じぐらい)が正しい問いになります。Round1Round4も相手に対するworkabilityの優位性を示しきれず負けてしまいました。逆にRound5ではLobbyingがどういったメカニズムで働いているのかを説明したところは評価されました。相手を批判するだけでも、自分たちをよく見せるだけではなく、比べることが最重要事項でした。恥ずかしながらBe comparativeと何度も指摘されてしまいました。ちなみに関係無いですが、お互いがモデルをしっかりと比べるという傾向はディベートがより現実社会につながっているように感じることができました。

また、ユニークネスの考え方は日本に近いと思いました。Round2ではinternational competitionRound4ではoil industryのユニークネスがそれぞれ欠けていて相手のケースよりcredibleではないという話になりました。Round6でも男女関係のユニークネスからNegContextを取られてしまった形となりました。コミュニティ全体として知識だけでなく、分析のストックを増やしていくことも重要であると感じました。
何のゲームですかね(笑)

全体論からは少し外れますが、3rd Speakerとしてはやはり英語力の必要性を感じました。Round6Round8では2ndからの強いケースに対応しきれず負けてしました。直前のスピーカーを潰し切るというのも然ることながら、しっかりとまとめているように見せないとチーム全体のケースが弱く見えてしまいます。Round7では「話している内容はいいけど、証明責任に合わせたbroader questionsに答える形になっていないからアイディアを活かしきれてない」というアドバイスをもらいました。直前のスピーカーに合わせて必要に応じて素早くクラッシュを組み替えて自分たちの比較優位性を示すとなると、思考力だけでなく相当な英語力が必要だと思います。それに対して個人的な解決策としてはWordingを学ぶことにあると思います。言いたいことを短くさっと伝えるには、ちまちまと言葉を覚えていくことが肝要です。その方が雰囲気もついていくと思います。これはHeyshiroとコンセンサスになったのですが、オーストラルはプレパが長いこともあり強いチームはWordingまできっちりと考えてスピーチしているので、Wordingの質はBPよりもいいと思います。音源はネットにあがっているものも多いので、Wordingを盗みましょう。

あと、リプライもしっかりと評価されていると思いました。日本でははっきり言って軽視されていますが、リプライでvoteを変えていると感じさせるBreak Roundもありました。それもあってか、リプライの点数での表彰もありました。こういった流れは日本でも見習うべきです。
怪しい(笑)

最後にディベートコミュニティ全体についてですがDiversityがとてもあると思いました。オーストラル自体がGender Quotaを設けているということもありますが、それ以上に多くの女性がディベーター、ジャッジとして活躍しているという印象を受けました。また、様々なバックグラウンドを持った人が多く、日本に留学した経験のあるSydneyの人と友達になったりMedicineを専攻している学生と対戦して個人的に親近感を覚えたりしました。残念ながら日本とは大きく異なると思いました。これらは多くの人がコミュニティに残っているからこそ実現できていると思います。もちろんディベート自体の社会的認識などもあると思いますが、ジャッジが必ず褒めてくれるという点もあると思います。失敗したラウンド後にフィードバックをもらいに行っても必ず褒めてくれます。ここは良かったと言ってくれるのです。正直、EFLの英語など聞くのも億劫なときもあると思うのですが、それでも褒めてくれます。ソーシャルとかで話した人もとてもフレンドリーでオーストラリアの時事ネタとかも教えてくれました。日本よりもコミュニティ内で自己承認欲求みたいなものを満たしてくれる辺りが多くの人が残りやすくなっているところなのではないかなと思います。

2. 体調管理について

今回のように気候が異なることもあるのですごく大切です。体調が悪いと最大限のパフォーマンスが出せませんし、何より悔いが残ります。体調を管理するためにポカリスウェットやビタミン剤やのど飴を皆で共有していました。特に海外大会は長丁場で体力も使います。オーストラルも予選だけで3日間もあります。3日目は加藤と川井さんも少し疲れて体調が優れないようでした。部屋にこもってばかりではなく、日頃から外で運動して体力をつけるのは意外とディベートにおいても重要だと思います()

3. 雰囲気について

負けが込んでしまうと雰囲気が少し悪くなると思います。実際、僕たちも必死でした。ただ必死になるがためにプレパ中の口調が厳しくなってしまったり、負けたら落ち込んでしまったりするので悪循環です。個人的にゆるく構えて、次を頑張ろうと切り替えるようにしていました。雰囲気が悪くならないように考えるのって自分の強みなのではないかと認識しました。と思いましたが、実は強みというほどカッコのいいものでもなさそうですねw
UTの癒し系石河さん

4. その他、楽しかったことなど

ニュージランドですが、いかんせん物価が高く日本より高いぐらいでした。ということで結局、中華料理を食べてましたw中国人ってどこでも料理を安く提供してくれるので助かりました。

空きの日であった4日はチョコレート工場の見学をしたり、近く教会に行ったりと観光をしていました。川井さんが鳩を追いかけていたのが印象的でした。そう、川井さんの面白さをなしに今回の大会は語れません。上級生(主に加藤)からの面白いことをやってよという注文に応えてくれたり、僕がフロントに行っている間にドッキリを仕掛けたりと楽しませてもらいました()

また、空き時間にはブラックジャックで勝負師・川井が出現したり、1分間しりとりで盛り上がったりとトランジットの待ち時間まで満喫していました。また、やりましょうw

 
最後に目標の23ですが、2はどうなんですかね、あんまり価値提供できていない気がしますが、無駄に自己満リサーチが役に立ったのでいいんですかねw

30.17点だけ上でした…8ラウンドあるので、1ラウンドあたり0.02点…4年差なので、1年あたり0.005点……
優秀な後輩を持つと先輩は大変です。

長文・駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
これからはBPの季節ですが、オーストラルでの気付きを生かして頑張っていきたいと思います。
いつも♡いっしょ

薬学部薬学科6年 石河敏成

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