春T感想 其の弐

こんにちはー。ICUTとザ関西の記事を書くと宣言しておいて今に至るまで何も手を付けていなかった平澤です。青木、ごめんなさい( ̄∇ ̄;) 前回のぶっちの懺悔も込めて、春Tの感想をICUT&ザ関西で感じたことを織り混ぜながら書きたいと思います。

UTの女帝こと平澤。写真提供はUTDSブログ撮影担当・ICUの黒木君
  1.Tに向けて

正直なことを言うと、春Tに向けた練習は「辛かった」の一言に尽きます。というのも、パートナーのレベルに自分の実力が全く伴っていなかったからです。私が今回組ませていただいたのは、オクスフォードのスーパーディベーターのトーマスとesujチャンピオンのあっちゃんさんでした。チーミングを聞いた時は、「チームメイトぱねえ汗」というアホな感想しか抱かなかったのですが、練習が始まってから鬱スパイラルが始まりました。まず、プレパで出てくるマターの量がとてつもなく多かった。Leaderとして出てきたマターをまとめてargumentの形にしなければならなかったのですが、情報処理能力がマター量においつかずLeader speechがぐじゃぐじゃになってしまうことが多々ありました。それ以上に、パートナー、特にトーマスのanalysisのレベルに自分の頭がついていかなかったです。プレパの時にトーマスがくれるanalysis、特にphilo、を上手く表現できずジャッジにとってもらえないことが頻繁にありました。恐らくトーマスの言っているanalysisの本当のnuanceを理解せずにスピーチをしていたからだと思います。何より、(ザ関西でも感じたことなのですが)leaderという今までと違うroleをやる中で、自分の実力の無さ、自分がごまかしてきた部分に気づかされたからです。私は出場したAsian styleのほとんどの大会でwhipをやりました。Asianが始まってから立論をあまりやってこなかった私はまずargumentmechanismを詰められない、マターを上手くパッケージできない、タイマネが悪い、philoってどうやって立てるんだっけ?etc数々の問題に直面しました。練習ではshameleader speechを連発し、「deputyからデイベートが始まる」「leaderの時点でチームとして何を守りたいのか全く分からない」「leader のスピーチがgenericすぎる」「このチームはdynamicsが・・・(←涙涙)」などの厳しいコメントを頂きました。何より、leaderなのに自分の話したマターがrfdに入ってこないことがあり、練習の度に自分の存在意義が分からなくなり鬱にorz Leaderが機能しないのではどんなに後の二人が上手くても負けてしまうという焦りとUTAの看板を背負っているというプレッシャーと申し訳なさとで春Tの前日まで悶々としていました。
 
試験期間中の平澤(のような何か)
 2.意識したこと

鬱エピソードばかり読んでも面白くないと思うので、shameleaderなりに何を意識したか、どうやって少しでもチームに貢献できるようにプレパの仕方やスピーチを工夫したか、を書きたいと思います。

1.プレパ(コバンザメ)の仕方

今年に入ってからAsian BridgeTitech cup、ザ関西、春T、と数々のコバンザメ出場を経験してきたのですが、その中で気づいたのがコバンザメにも美学はあるということです。コバンザメは楽そうに見えるからもしれませんが、コバンザメにはコバンザメなりの苦悩があるのです。

ICUTでの一枚。
 自分よりも圧倒的に実力が上の相手と組む時に一番意識すべきなのは、プレパ中思考停止に陥らないことです。自分の中で消化しきっていないマターをしゃべると絶対にスピーチのどこかにガタがきます。渡されたマターをそのまましゃべると、reasonassertionlinkageが薄くなったり、logicはあってもunrealisticなふわふわとした議論をすることになります。何よりpoiに対して変な返答をして自分たちのスタンスとコントラするなどの悲劇を生みます。

春Tでは素晴らしいleaderを務める
 パートナーのくれたマターを消化するには、分からないことをその都度聞くことが重要です。それでも分からないならそのマターはしゃべらずにパートナーに任せましょう。プレパ中パートナーの話に対して批判的になることも大切です。せっかく三つ脳みそがあるのに自分の脳みそは使わずにパートナー二人の脳みそしか使わないのは本当にもったいないです。私はanalysisの深さやスタンスの取り方などでパートナーたちに叶うはずもなかったので、せめて相手サイドを他の二人よりも頑張って考えようと思い、春T直前の練習と本番はプレパ中チームメイトの話を聞きながらそれに対するrefuteを考えるようにしていました。たとえ糞refuteしか浮かばなかったとしても考えるのをやめたら終わりだと思いとりあえず批判的になろうと頑張っていました。こういったプレパを続けているうちに、練習を始めた当初は完全に受け身だったプレパが、本番のラウンドでは自分の意見を言ったりあるいは自分の考えたanalysisargumentの中に組み込めるようになっていきました。ブレイクラウンドのプレパで私が出したanalysis2人が褒めてくれた時は本当に嬉しかったです。

2.スピーチについて

デイベすす、Titech cupICUTwhipをやっていた頃は、プレパ時間がきちんと設けられ相手にそれほどengageしなくてすむleaderをうらやましく思っていました。しかし、実際にやってみるととんでもないです。Leaderはとてつもなく難しいroleだということを思い知りました。まず、プレパ中のマターをまとめて形にするのは本当に大変です。何より考える時間が他のroleと比べて短いので難しいmotionが出た時やプレパが上手くいかなかった時に死にます。そして責任がかなり重いです。チームスタンスを示すのはもちろんのこと、コアな立論をしっかり立てきらなければなりません。Leaderfirst argumentを立てきれないとdeputyの仕事が増え、相手へのengagenew analysisにさける時間が減ってしまいます。Leader が失敗すればドミノ倒しのようにしてその余波がdeputy, whipにまで及んでしまうのです。
 

THE関西でのスピーチ。
 
私が意識したことは二つあります。一つ目に、自分のスピーチにテーマを持たせることです。こういう言い方をするとかっこよさげに聞こえますが、要はチームとして何を守りたいのか、それをはっきりさせることです。イントロやイラスト、パッケージなどでとにかく「これを守るんだ!」という雰囲気を作ることを意識しました。


二つ目に、証明責任の重いマターから順番に話すように気を付けました。当たり前のことですが重要なanalysisを言い切らないと意味がないからです。春Tの練習が始まる前はとにかくphilosophyを話してからpracticalを話すと決めていて、どんなmotionが来てもそのテンプレに添って話していました。しかし、それでは一番コアなanalysisに時間をかけられなくなったり、自分たちが何を押したいのかよくわからなくなってしまいます。なので、4月中旬あたりからは、テンプレを捨ててその都度話し方を変えるようにしました。では、証明責任とは何かというと、正確な意味は私は正直よくわかっていないです(笑)。とりあえず相手が一番叩いてくるところ、そして自分たちのすべてのケースを成立させるために必要なanalysisという風に捉えていました。たとえば、THBT state should allow military officers to criticize the government in the publicというmotionoppであれば、もちろんmilitary officersとしての責任や国家がdiscourseというものに対してどういった姿勢をとるべきかという「べき論」をargumentにすることができます。しかしながら、これらの「べき論」は結局のところ「military officersが政府を批判することによって何等かの悪い影響が市民に及ぶ」という「現象」に基づいています。そして、その「現象」が起こらず、軍人による批判が市民にいい影響を及ぼすというのがgovのケースなので、「べき論」よりも「apの現象」の方を一番厚く話す必要が出てきます。その為、このmotionoppのときは、「apの現象」を話してから「べき論」を話すようにしました。当たり前のことかもしれないのですが、その当たり前もできていなかったのでマターの順番を変えてからは大分落ち着いてleader speechができるようになりました。

渡辺、出利葉先輩方とのワンショット!
3.立論について

一つ目に、harmproblemの「量」に注意しました。練習の時に「argumentが非現実的過ぎて取れない」「聞いてて本当かよ?って思う」というコメントをよく貰い、どうしたらargumentを取ってもらえるのか、現実的な話に聞こえるのか悩んでいました。これは完全にトーマスの受け売りなのですが(笑)、harmの量を現実に起こりそうな程度に調節することが大切だそうです。たとえば、春TRound4THBT Israel should exempt those who oppose Palestine occupation from military service oppであれば、「軍隊が弱体化する」というポイントを立てることができます。同じポイントを立てるにしても、「軍隊から皆いなくなってイスラエルが崩壊する!」というのと、「軍隊から抜ける人が多くなることで士気が下がり徐々に軍隊が弱まって他国が増長する」というのでは現実性が違います。harmは盛ればいいというものではなく、現実的な範囲内にとどめることが大事なのだということを学びました。

二つ目に、ゴール設定を高く設定しぎないように意識しました。サイドとしてのゴールをあまりにも壮大なものにしてしまうとそれだけ証明しなければならないことが多くなり大変です。なので、ゴールをできる限りachieveしやすいものにしようと頑張りました。わかりやすい例でいくと、THBT liberal democracies should send female ambassadors to countries which oppress womenというmotiongovが女性大使を送る国々の女性蔑視をなくすのは無理です。その為、「libberal democraciesとして少しでも女性の地位向上を目指して努力する」ことをgoalにすれば勝つために証明しなければならないことが大分減ります。いわゆるphilosophical argumentで達成しやすいgoalを設定するようにしました。

 まとめると、春Tに向けて色々考えさせられたということです。ぐだぐだとプレパや立論について書きましたが、どれも良くフィードバックに登場する当たり前にやらなければいけないことです。しかし、当たり前のことを当たり前にこなすのがいかに難しいのか大会の度に思い知らされます。

Grand Finalist!!!
最後に、チームメイトのあっちゃんさん、トーマス、ありがとうございました。UTAの足を引っ張り続けて本当にすみませんでした。ダメダメの私を見捨てずにアドバイスをし続けてくれたトーマス、何度も辛抱強くプレパ練やスピ練に付き合って下さったあっちゃんさん、感謝し尽してもしたりません。お二人と組ませてもらったおかげで、デイベートについてたくさん悩み考える機会を頂きました。身の丈に合わないハイレベルなラウンドに入ることができて、本当に夢のような二日間でした。

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