WUDC 2023 結果報告&感想Part 1
今回は、年末年始に行われました Madrid WUDC 2023 の結果報告&感想Part 1(by Yuichi Masaokaさん)をお送りします!!世界を舞台に戦うUTDS部員のアツい記録を、是非お読みください🌼
結果報告
【Team Prize】
[Open Octo Finalist]
▶️Tokyo A (Nasa Tsuchiya, Kotaro Yoshida) [Breaking 43rd, 17 pts]
[ESL Semi Finalist]
▶️Tokyo B (Yuichi Masaoka, Rina Kajitani) [ESL Breaking 3rd, 16 pts]
【Adjudicators】
[Breaking Adjudicator, Open GF Panel, Open SF Chair]
▶️Tota Takahashi (Invited Adjudicator)
【Organizing Committee】
[Asia Region Advisor]
▶️Mayu Arimoto
[Training Team]
▶️Tota Takahashi
大会感想 by Yuichi Masaokaさん
【はじめに】
こんにちは!昨年末部長を引退しました、UTDS新3年の正岡です!4月から法学部第1類に進学予定です。
最初に、本題のワールズからは逸れた内容になってしまいますが代替わりについて一言触れさせてください。私が部長を務めさせていただいた2022年執行代も、正式には大晦日を持って終わり、引き継ぎも一応先月一段落しました。皆様1年間温かく見守ってくださりどうもありがとうございました。至らないところも多々あったかと思いますが、UTDS部内・部外問わず、本当に多くの方々のご支援に救われました。どうもありがとうございました。特に執行部のみんなは本当にありがとう。
また後任の執行部ですが、平井新部長はじめめちゃくちゃ頼もしい布陣が完成しました!本年もUTDSをどうぞよろしくお願いいたします!
さて、今回の本題は マドリードワールズ。マドリードワールズは昨年12月27日(火)から今年の1月4日(水)までスペインの首都マドリードにて開催されました。モーション解説等は他サイトで充実したものもあるようなので、ここではワールズの全体的な雰囲気を伝えることができればと思っております。特に対象としたいのは、ワールズに漠然とした興味を持ってくれている方や、将来ワールズ出場を考えている方などになります。写真なども多めにするので、気楽に読んでいただけると幸いです!
[Tokyo ppl in Madrid]
目次
0. はじめに
1. ワールズとは
2. 大会準備
3. 大会
4. 最後に
5. 【番外編】写真で振り返る大会前後の観光
1. ワールズとは
よくご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、「そもそもワールズとは?」という点について念のため触れておきます。
World Universities Debating Championships (通称:ワールズ)は1981年にGlasgow University Unionによって第1回が開催されて以来、今も昔も世界最強のディベーターを決める最も権威のある大会とされてきました。特に過去のワールズ決勝なんかは皆さんも一度はYouTubeで見たことがあるはず...?
近年はESL・非欧米圏のチームの活躍が目覚ましく、2021年コリアワールズ(オンライン)の優勝校はクロアチアのUniversity of Zagreb、2022年ベオグラードワールズ(同じくオンライン)はバングラデシュのBRAC Universityで、今回のマドリードではフィリピンのAteneo de Manila 等も優勝候補として有力視されていました(結局Ateneoが優勝)。
個人的にはワールズの音源への憧れもあってディベートを始めたところもあったので、大学生として出場する機会に恵まれて本当に幸運だと感じております。
2. 大会準備
ワールズは、その準備まで遡れば渡航の半年~1年前前から始まっていると言えるかもしれないです。自分のチームのワールズに向けた準備について、簡単に振り返りたいと思います。
チームメイト探し
ワールズに一緒に出てくれる人が一人でも見つかるのはそれ自体で本当に運の良いことですが、特に一定程度の結果を求める場合、そのペアが長期的にディベートにコミットしてくれる人だとなお良いです。
自分の場合、ペアのりなとは2021年の秋頃から組み始めていました。マドリードワールズ自体に向けた準備が本格化したのは大会前の9月頃からだったと思います。ワールズは同じ大学内でチームメイトが見つからないとそもそも出場できないので、この点自分は恵まれていたと感じています。
練習
具体的な練習方法等については、参考になるソースがいくつかあると思うのでここではあまり深堀りしません。一応今回の自分の場合についておおまかに説明すると以下のような感じになります。
★音源・レクチャー聞く
個人的には音源やレクチャーのインプットが足りていないという問題意識があったので特に大会前はよく聞くようにしていました。試合の音源だと理解が追い付かないことも時々あったので、ゆっくり解説してくれるレクチャーの方が消化しやすくかつ参考になると感じることが多かったです。YouTube 上のAstana EUDC Training Platform 等をよく見ていました。(Astana EUDC Training Platform のリンク(一応)→ Astana EUDC Lectures - YouTube )
もちろん音源等を聞くことが最適の練習方法とは必ずしも言い切れないと思います。激つよディベーターの中には熱心に音源を聞く人もいれば、そこまで聞かない人もいます。自分にとっての最適な練習方法は、個々人で探る必要がありそうです。
★プレ大会で腕試し
日頃から開催されているオンライン大会に時々出場するようにしていました。特にワールズ直前期は “〇〇 Pre-WUDC” のような大会がよく開催されますよね。
大会は個人やチームの強み・弱みを把握する上で役に立つこともあります。ただ、週末が潰れる割に消化できるモーション数が多いわけではなく、音源・プレパ練・スピ練等と比べてコスパがいいとは必ずしも言えないと思います。
それでも大会に出るメリットとして個人的に感じたのは、海外のディベートコミュニティと繋がりを作れるというところかもしれないです。海外ディベートコミュニティと繋がりを作ると言うのは、DM等で打ち解けて個人的なコネを開拓することに限らず、同じ実力帯のディベーターを一方的に認知したり、ジャッジに名前をうっすらとでも覚えてもらうことなども含めて言っています。海外大会に一度出て友達が一人も作れなかったとしても、勝手にライバル視するチーム/ディベーターを作るとモチベにもなりますし、ジャッジに少しずつ認知されることは時には本番の結果に直結するメリットにもなります。
ジャッジとのコネについて一言補足すると、もちろんコネが出来たからと言って今後自分にボートしてくれるようになるわけではありませんが(当たり前)、認知してもらうとより丁寧なフィードバックがもらえるようになったり、より精密に議論を見てもらいやすくなったりすることがあるのはある程度事実だと感じました。こういう意味でジャッジとのコネは本番に直結することもあると思います。
3. 大会
前置きが長くなりましたが、今回の本題であるスペインへの渡航に入っていきたいと思います。
行きの飛行機からスペインの赤い土が見えてきました。マドリードに着いた直後は、空港や街中でとにかくスリに警戒していた記憶しかないです(笑)。到着してから大会までの間、数日間マドリード周辺を散策しました。それについては5.【番外編】で触れたいと思ってます。
ホテル到着〜開会式
開会式前日、ホテルに到着。今回は予想以上に豪華な部屋に割り当てられたようでした。びっくり汗。
[ホテルの部屋]
ホテル内では音源やレクチャー動画などで知られる有名ディベーターを見かけることが多く、一々興奮気味になっていた記憶があります。それまで雲の上の存在だった有名人といきなりエレベーターで乗り合わせたら、そりゃ焦りますよね汗。
開会式の日に、大会会場に初めて向かいました。ホールに入ってワールズに来たことを実感汗。
[開会式の会場]
ホールや食堂で席が隣になった人と話すなどして、少しずつ交流の輪を広げていきました。オンラインでしか会ったことがなかった友人・知り合いと初めて対面で会えたことは特に嬉しかったです。
大会会場は地元の高校と思われる施設で、駒場練などと同様に普通に教室に椅子や机を並べてラウンドをします。こうした対面大会の風景は今や当たり前のことかもしれませんが、個人的にはマドリードが対面で出場する初めての対面大会だったこともあり、細かいことも一々新鮮に感じられました汗。色々と忙しい汗。
予選
★予選1日目
9試合も続く予選ラウンドがいよいよ始まりました。緊張した空気を感じつつも対面ワールズの高揚感もあり、みんな試合後はテンション高めに交流していました。
Round 1 は初っ端からOGにOxfordの某オーソリペア。運良くOOを引いて1位を取れました。めちゃくちゃ良いスタートを切れたということで、当時は嬉しくなっていたんですけど、後から集計結果を見るとめちゃくちゃOOヘビーなモーションだったんですね😇(たしか70-80%くらいの部屋でOOがアッパー)。まぁ勝てるところで勝つのも大事ということで汗。
★フットボールナイト
予選1日目の夜はフットボールナイトという運営主催のサッカー大会に行きました。フットボールナイトに限らず、クリスマスマーケット散策など、ワールズでは運営が様々なソーシャルイベントを用意してくれます。皆さんがワールズに参加した時は、こうした貴重な交流の機会に足を運んでみてはどうでしょうか。
フットボールナイトは国・地域に別れて総当たりのグループリーグを行い、4チームがセミファイナルに進出するというものでした。フットボールナイトも大会と同様、Preliminary Rounds → Break Rounds という流れで、予選の合間にも飽きずにコンペティティブな内容なんですね😂。チームアジアはバブルでオーストラリアを倒し、セミファイナルに進出。UTDSの大先輩①のアシスト→UTDSの大先輩②がシュートという激アツ展開もありました。先輩たちディベートもサッカーもできて万能過ぎ。運動で心も身体もリフレッシュし、予選2日目に備えます。
[フットボールナイト]
★予選2日目
初日の交流エナジーも尽き、どの国から来たか、時差ぼけが大変だ、「ナイスラウンド」などありがちな話題にも飽き飽きしてくる頃。サイレントラウンドに突入する前に点を稼いでおきたいという焦りも少しずつ感じて来ました。
特にクロージングの結果が振るわず、気を落とさないようチームメイトやルームメイト、UTDS ppl、知り合いの海外ディベーター・ジャッジと話したりして気を紛らわせていたと思います。結局2日目終了時点では6試合で10点。実は夏のベオグラードの11点を下回る成績だったんですね汗。とはいえ最終日の対戦相手のレベルが僅かに下がるということで、合理的なのかよく分からない安心感を持っていました。
話が若干逸れますが、ベオグラードではHaifa(イスラエル)の某チームがR6終了時に10点部屋から、最終日1位→2位→2位という起死回生の展開を見せていたのが印象的でした。結局ベオグラードのESL GFまで進んでいたと思います。過去の都合のいいデータばかり開いては1人で勝手に勇気付けられていました(笑)。落ち込んでパフォーマンスが落ちるくらいなら都合のいい思い込みを持っておいた方がいいかもしれないです。
★予選最終日
R7は手応えがイマイチでしたが、R8は感触が良かったです。R8終了時には14-15の点数帯にいるだろうと思っていました。バックタブによると14点でした。
バックタブについて補足すると、バックタブとはサイレントラウンドの結果をその次、または次の次のラウンドのアロケから逆算して推定することを言います。特にワールズの場合、独自に順位を集計した「裏タブ」のようなものを作って流している人がいたりします。
ついに予選も最終ラウンドのR9へ。チェアがACだったので、バブルには届いているという微妙な安心感はありました。この局面でOOを引いたのは運がよかった。一番の驚いたのはTokyo AがCGにいたことでしょうか。R8終了時点でTokyo A, Tokyo B, 両方とも14点で並んでいたんですね汗。2位以上でESLブレイク、1位でオープンブレイクということで、両チームアッパーに収まれば丸い...(結局丸かった)。
[ワールズバブルのタブ]こんなところでまさかのTokyo 対決
というわけでワールズの予選もあっという間に終了。R9中日本では新年を迎えていたようでしたが正直あけおめLINEどころではありませんでした汗。(新年の挨拶が遅くなり、色々と失礼になってしまっていたら申し訳ないです汗)
ブレイクアナウンスメント
ワールズのブレイクアナウンスメントは新年のカウントダウンと同時に行います。ブレイクしたら新年を気分良くスタートできるかもしれないですが、もしブレイク落ちしたら...と考えるとちょっと怖いですよね...ブレイクアナウンスメントを新年カウントダウンと同時にやるのは例年のワールズの恒例行事のようですがこういう残酷なイベントを一体いつ誰が始めたんでしょうか汗。
今回のブレイクアナウンスメントはマドリード中心部の、かなりしっかりしたパーティ会場で行われました。ブレイク落ちしている可能性も当然考えましたが、ワールズのブレイクアナウンスメントも一生に一度と思い、ウーバーを拾って会場へ。会場はめちゃくちゃウェイウェイした雰囲気。
アナウンスメントはなかなか始まらなかった記憶があります。ワールズは部門が多いので、発表が始まってからもタメが異様に長かったです。Public Speaking, Masters, Judge, EFLを経てついにESL…
[ESL Breaking 3rd, Tokyo B!]
1点差でオープンを逃したことへの悔しさもありつつ、1年以上組んだチームメイトと何かしらの結果を日本に持ち帰ることができるということで安心感も大きかったです。そうした感情を消化している暇もなく、発表はオープンへ。
[Breaking 43rd in open category, Tokyo A!]
バブルで当たった両チームとも受かって良かった(涙)!Tokyo Aの2人はR9は運がよかったと謙遜(?)してました。仮にそうだとしてもこれまでの実績的にTokyo Aがオープンブレイクするは本当に妥当な結果だと思いました。Tokyo A本当におめでとう!!!
予選から解放され、ぐったりしながらホテルに戻りました。
本選
中日の1月1日はあんまり記憶がないです(笑)。寝たり散歩したりしてたと思います。
本選は1月2日から。会場は予選と同じでしたが、雰囲気は少し違ったものがあったような気がします。どの部屋も大きく、パネルは5人以上。観客も詰め詰めで、各部屋インターネットでライブ中継もされていました。
前日の夜、ペアと最悪のアロケが来るものだと思い込もうと話してました。どうせCGを引くだろうとか(CGが苦手でした)、相性の悪いジャッジが来るだろうとか、そういうことですね。そうすればどんなアロケをされても、期待はいい方向にしか裏切られないので(笑)。
しかし実際のアロケはなかなか厳しいものでした。ポジションは勝率が伸び悩んでいたCG。論題はアフリカに関するもので、OGにはガーナのチーム...落ち込んでいてもしょうがないので、試合にはいつも通りの雰囲気で臨みました。手応えは悪くはなく、後から聞いたところ最初はパネルの過半数がうちらに入れてくれていたそうです。しかし最終的にCGは過半数を維持できず、ESL SFで敗退となりました(涙)。本当に悔しい。
4. 結び
長く、しかも不慣れなブログに付き合っていただき、どうもありがとうございました汗。一応このあたりで結ぼうと思います。
渡航前から始まったワールズでしたが、総じてとても充実した体験になったと思います。落胆する瞬間や今でもやり直したいこともあるし、何よりオープンブレイクという目標に1点及ばなかったのは自分の短いディベーター人生では一番悔しかったです。とはいえ、多くの幸運が重なり(例:モーション運、サイド運、ジャッジ運、ディベータープールの運、そして何よりペア運)、日本人歴代4位の成績が取れたのは素直に嬉しかったです。マジでキャリーされたのでimposter syndrome(天使)。
UTDSブログの読者の需要も考え、この記事では大会に関連する内容にフォーカスしましたが、大会以外の時間も色々と思い出になりました。先輩・同期・後輩と寝食を共にしたり、観光地で感動したり、時にはヒヤッとしたり汗。結果にこだわっていたディベーターとしてこのような考えに甘んじていいのか微妙ですが、ワールズは大会の結果に関わらず、記憶に残る大学生生活の思い出の一つになると思います。
チームメイトのりなはもちろん、UTDS内外の先輩・同期・後輩、提供ジャッジのHYくん、海外ディベートコミュニティの人々、渡航を後押ししてくれた家族など、今回のワールズでの体験を可能としてくれた全て方々に心から感謝したいと思います。
5. 【番外編】写真で振り返る大会前後の観光
[『オルガス伯の埋葬』(エル・グレコ), サント・トメ教会]
大会前、マドリード近郊のトレドにも足を運びました。トレドは世界史の政治史・文化史的にかなりアツい都市。受験生時代世界史オタク(自称・にわか)だったので一つ夢が実現しました。嬉しい。
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