WUDC2023 感想Part 2

みなさんこんにちは!広報です🌸
今回は前回に引き続き、ワールズ(WUDC)の感想をお送りします。今回は日本人で2組目となるWUDC Open Breakを果たし見事Octo Finalistに輝いたNasa Tsuchiyaさんにいただきました!是非お読みください😆

大会感想 By Nasa Tsuchiyaさん

こんにちは、2020年度入学の土屋なさです!

UTDSブログに投稿させていただくのは初めてです。


年一度の世界最大規模の大会Madrid WUDC 2023(World Universities Debating Championship) に出場した経験について紹介させていただきます。自分自身がWUDCに向けて準備をしている中で、先輩方のブログを読んで参考にさせていただいていた部分が本当に多かったので、今回私も書くことにしました。


自分の個人的な経験ばかりになってしまうのですが、ディベートを始めたての方から、これから海外大会やWUDCに挑戦したいと考えている方、ディベートとの向き合い方を悩んでいる方などがいましたら、少しでもお役に立てたら嬉しいです。

個人的に他人がどのような心持ちでディベートに取り組んでいるのか、普段どういうことを考えているのかが気になるので今回はそういう観点を多めに含んでいます。

長くなってしまったので、WUDCについて読みたい方などは飛ばしながら読んでください。


自己紹介

現在航空宇宙工学科新4年の土屋なさです。

ディベートを始めたのは大学一年の終わりの頃で、始めてから2年ちょいくらいが経ちます。

中高時代はサッカー部、軽音部など全く違うことをしていました。ディベートに触れたことはなかったのですが、スピーチなど人前で発表することは小さい頃から好きでした。

小学生の頃に3年半ほどアメリカに住んでいた帰国生です。


大会結果

私たちのチームはOpen Octofinalistという結果に終わりました。

Open カテゴリー (参加者全体)でのBreak(決勝トーナメント出場)は2021年のUTDSのTota&Kanan に続き日本史上2チーム目であり、個人的にディベートにおいて大きな目標としていたことだったので、嬉しい結果となりました。

多くの方々に助けられて達成できたことなので、本当に感謝しきれません。


目次

  1. WUDC出場に至るまで

  2. WUDC準備期間について

  3. WUDC本番について

  4. 感想、ディベートとの向き合い方について


  1. WUDC出場に至るまで (ディベート始めるきっかけ、WUDCを目指すようになるまで)

 大学に入学した時には、今のようにディベート中心の生活を送っていることを想像することさえできませんでした。気づかないうちにどっぷりディベートにのめり込んでいったように感じられるのですが、振り返ってみると色々な転機や多くの人に巡り会えたおかげだなと思います。


 ディベートを始めたのは些細なきっかけでした。コロナの時期に大学に入学して、特に何もしないまま大学一年生が過ぎていき、退屈していた頃にクラスのUTDSの人について行ってなんとなく体験に行ってみました(2021年1月頃)。その時に先輩が優しくスピーチを褒めてくれ、楽しいかもしれないな〜と思って入部が決まりました。


 そこからは、同期が誘ってくれることなどをきっかけに大会に出るようになりました。全ての大会がオンラインで開催されていた時期だったので、国内大会に加えて、始めた数ヶ月後には海外大会にも出場していました。

 特に印象に残っているのは、初めての大会となった2月のAsian Bridgeという一年生大会で同期にキャリーしてもらって優勝を果たすことができたこと、5月頃のNagoya Debate Openという大会で同期でチームを組んで初めてオープンブレーク(学年やレベルなどの制限のない枠で決勝トーナメントに進出すること)をできたこと、7月頃のTaylor’s Debate Openという国際大会で初めて国際大会でブレークできたことなどです。この頃は上達が感じやすい時期で、少しずつ目標が上がっていき、それをクリアしていくことが楽しかった覚えがあります。


 自分にとっての一つの転機となったのは、UTDSのRyosuke Yoshida先輩に夏頃チームを組まないか、と誘われたことでした。ディベートでは同じ大学の人と長期的にチームを組み、チームとしてのレベルを高め、Majorと呼ばれる大会に向けて準備をすることがあります。

 Major 大会というのは毎年開催される特定のアジア地域の大会(ABP, UADC, Australs)や世界大会(WUDC)などを指し、公式戦のように位置付けられていて、例年レベルの高いチームが集まります。

 私はRyosuke先輩と組んでアジア大会のABP、北東アジア大会のNEADCなどに出場することが決まり、その準備としてヨーロッパのレベルの高い大会(Oxford IV, Doxbridgeなど)に出場することになりました。この頃から週3,4で先輩とスピーチ練習をし、毎週末休みなく大会に出場する生活が始まりました。

 また、なにげない会話の中でRyosuke先輩に聞かれたことをきっかけに、私は初めて長期的にディベートに取り組む目標というものを考えるようになりました。ディベートをこれからも頑張るのであれば、未だ日本チームでは1チームしか達成していないWUDCでのオープンブレークを目指したい、ということを意識するようになりました。2人で組んでいた間にはキャリーされてABPオープンブレークやNEADCでの上位ブレークなどを達成することができ、ディベートの技術的な面でもディベートへの取り組み方という面でもRyosuke先輩には本当に多くのことを学ばせていただきました。


 ディベートを初めて一年強が経った頃(2022年3月頃)、目標としていたMadrid WUDCの申し込み期間が始まり、この大会に向けてのチームを組む必要が出てきました。Ryosuke先輩は研究や院試などで忙しかったため出場が叶わず、新しいチームメイトを探さなければなりませんでした。それも、申し込み期間が結構短く、大体一年後の年末にヨーロッパまで実際に行ってくれるような人、ましてや一緒に本気でオープンブレークを目指してくれるような人を見つけられる可能性はゼロに近く、軽く絶望していました。数人に断られたのちに声をかけてみたのが、実際に組むことになったKotaro Yoshidaくんです。その時期は推薦合格で東大への入学が決まった段階で、まだ新入生でさえもなく、一度大会で当たったことがあって名前くらいは覚えてもらえているかなーというような関係性でした。あまり期待せずにTwitterのDMで連絡してみたところ、

Kotaro:「ガチでオープンブレイク目指しますよね?」

私: 「私はガチでオープンブレイクが目標です!」

 というやりとりの末に、翌日には出ることを決定してくれました。今思うとラッキーにラッキーが重なった結果だなと思います。その時にはわかるはずもないことでしたが、実力もやる気もあるというだけでなく、Kotaroくんとチームとしての相性がとてもよかったのが結果を残すことができた大きな要因だったと思います。そこから一年後のWUDC本番までは二人で組んで練習したり多くの大会に出場して準備を重ねる期間が始まりました。


  1. WUDC準備期間について

 WUDCの準備期間についてチームを組んでから大会までの1年間でどのようなことをしたのかを振り返ってみます。


 夏頃まではチームとしては大体月1~2くらいで、個人では毎週末オンラインで大会に出場していました。大会に出場することで個人としてもチームとしても実戦を通した練習が詰める上に、多くのディベーターやジャッジに名前を覚えてもらえることが大きいかなと思います。このようにディベートの実力外の部分でも戦略的に準備を進めていくことが大事になってきます。

 大会の外では、私は音源を聞くことが好きなので、音源はずっと毎日のように聞いていました。Kotaroくんも音源マニアなので音源について話が通じるのはとても楽しかったです。音源はマター(内容)もマナー(スピーチの方法)なども手っ取り早く盗むことができるため、特に私のように自分から新しいアイデアを思いつくのが苦手な人には本当におすすめです。私の場合、どこかの音源で聞いたことのある話やメカニズムなどを組み合わせたりしながら立論を組み立てていると言っても過言ではありません。その他には時々プレパ練や海外の人とラウンド練などをしていましたが、そこまでハードに練習していた訳ではなかったです。


 そんな中、また一つの転機となったのが、ちょうど9月末頃に自分とKotaroくんとTota Takahashiさんの3人のチームでUADCに出場したことでした。Totaさんは直近のアジア大会で優勝、当時唯一WUDCでのオープンブレークを達成していた日本ディベート界のレジェンドであり、とても尊敬している先輩でした。UADCで組む以前はほぼほぼ面識がなかったため、私の中でTotaさんがなんとなく神格化されていて、会うたびにとても緊張していたことを覚えています。UADCのチームはトライアル制 (選抜テストによってチーム分けを決める制度)だったので、トライアルをなんとかくぐり抜けてTotaさんと組むことができ、非常に嬉しかったです。しかし、UADCの結果はまさかのブレーク落ち。運の要素もあったものの、圧倒的に自分の実力不足を痛感し、家に帰ってから悔しさと申し訳なさでめっちゃ泣きました。


 その時に、WUDCで同じような悔しい思いをしたくない、と思い本格的にギアチェンジして練習に取り組むようになりました。初めはKotaroくんと一緒に各自毎日スピーチを一つずつやるような練習をやりました。自分のスピーチの話し方、話の構成の仕方、メモの取り方、プレパの時の頭の働かせ方、様々なことを一通りを自分で録音して聞き返して反省して大きく刷新し、繰り返し何度も練習しました。この時にこのような練習を繰り返したことで考えるスピードが格段に上がった実感がありました。駒場練には毎週いくようにして、駒場練の前の時間にはKotaroくんと毎週部室でプレパ練をしていました。ありがたいことに、Totaさんも毎週来てくださり、フィードバックなどをもらっていました。徐々にKotaroくんとのチームのバランスも整っていきました。アイデアを考えるのが得意でセンスがあるのがKotaroくん、そのアイデアを元に立論を組み上げるのが私。比較的アジアジャッジに受けがいいのが私のスピーチ。EPLジャッジやヨーロッパジャッジに受けがいいのがKotaroくんのスピーチ。

 また、この時期には、多くの先輩方からアドバイスをいただけたことによって少しスランプ気味だった時期から脱出できた感じがしました。UTDS卒業生のKananさんや、久しぶりに秋Tで組むことになったRyosukeさんは自分が悩んでいることを真摯に聞いてくださり、話す中で新しい視点ができて視界が開けたような気がしました。先輩のアドバイスを糧に、この時期には北東アジア大会(NEADC)で優勝/OBSを達成することができました。


 直前期には、上記のような練習に加え、対面スピーチに向けた練習や時事関係などについてさらに勉強しました。様々な先輩にアドバイスをいただき、実際の大会中に落ち着いて取り組めるようにメンタル調整も意識しました。特に印象的だったのが、UTDS卒業生のM先輩にいただいたアドバイスで、完全に準備が終わらなかったとしても、(調べたいことが全部調べられない、聞きたい音源が全部聞けない、まだ課題が残ってる等)それはあたりまえで、自分に自信をもって取り組むことが大事という言葉や、KDS卒業生のT先輩にいただいたアドバイスで、WUDCは今までの過程の延長線上にあることだから、自分の強みややってきたことを続けて、本番でも発揮できることが大事というような言葉でした。この時期は自分の中で受験の直前期のような感覚で、四六時中ディベートのことばっかり考えていて、結構必死でした。

 このようにして、12月末、実際のヨーロッパ渡航が始まりました。10時間を超える飛行機の中で読み込む予定の大量のマターファイルを印刷して、心配性な私は不必要に多いメモ用紙とペンをスーツケースにしまい、飛行機に乗りました。


  1. WUDC本番

 

 WUDC本番は初めての対面国際大会、初めてのWUDC、コロナ明け初めての海外渡航ととにかく新しいことだらけでした。不安な点も多かったですが、実際にやってみると新鮮な体験がたくさんありとにかく楽しかったです。各ラウンドについて、詳しいケースなどは省きつつ簡単な感想です。


●R1 CG 3位 THBT it's in the interest of the team for the player to be excluded from the World Cup finals squad

Info Slide: A team that’s recently gained prominence after great performances at the World Cup has advanced to World Cup finals for the first time. After the semi final, the team's top scorer and most important player, while drunk at a bar, publicly instigated a physical fight against another member of the team. When asked to calm down they continued to double down, causing more of a public disruption and seemingly irreconcilable differences with other members of the team.


 後から結果を見るとモーション上CGが不利なポジションだったものの、R1から3位をとってしまったことは結構がっかりしました。自分がメンバーからComparativeの甘いケースを出してしまい、メカニズムの段階でジャッジを説得することができませんでした。OGの抜け目的にメカニズムやcomparativeをがっつり埋めていくタイプのケースで少なくとも2位は死守するべき場面だったなと反省があります。

ラウンドが終わった後に、TotaさんとLSEのMatt Caitoが慰めてくれて、結果の悔しさではなく人の優しさで泣きそうになりました。


●R2 CO 1位 THP the quality of art being viewed as predominantly subjective as opposed to predominantly objective


 モーションのワーディングに戸惑ったものの、話す切り口は多いモーションだと思います。基本的なケースのメカニズムは埋めつつ、Kotaroくんが出してくれたArtに人の集中がどう集まるか、という話やArtのCharacterizationをOpeningからずらしつつケースを立てました。OAからは意図したことの6割程度くらいしかジャッジに伝わっていないように感じましたが、とりあえず1位をとれてよかったです。

 私たちはとにかくオープンブレークを目指してたので、9ラウンド終わった時点でよければ18点、最低でも17点を取りたいと考えていました。ラウンド間に考えても仕方ないことですが、±0ライン上に乗ることが一つの標準となっていて、その意識はずっと抜けませんでした。


●R3 OO 3位 THBT The Pacific Alliance should introduce a common currency

Info Slide: The Pacific Alliance (Spanish: Alianza del Pacífico) is a Latin American trade bloc, formed by Chile, Colombia, Mexico and Peru.


 あまり詳しいマター予習をした地域ではなかったものの、EUの勉強はしていたので、Common currencyの問題点などの基本的な部分はわかっていました。ある程度基本的な話はしたつもりだったものの、自分のスピーチの内容がほぼほぼ評価されずに3位となってしまいました。多くの話をした上で大筋が見えにくいスピーチとなってしまったことが反省だったかなと思います。1日目終了時点で5点。まあOKでしょう。


●Football Night

 1日目の夜は大会のSocialsの一つとして設定されているFootball Nightに参加し、サッカーをしてきました。2日目のラウンドを考えると、夜も遅くなるので参加を迷いましたが、とても楽しかった上に、体を動かすことで2日目から頭をすっきりした状況で迎えることができたので参加して正解だったなと思います。


●R4 OG 1位 THBT governments, when determining housing policy, should heavily prioritize supporting renters over home owners


 個人的にOGがやりやすいモーションだったなという実感でした。5点部屋だったので相手のレベルもとても高いわけではなく、シンプルなケースをシンプルにたてたという感じです。

 この頃にはだんだん対面でのラウンドに慣れてきて、少しずつ本調子を取り戻してきたかなと感じました。頭も回転するようになり、とりあえず一つ一つのラウンドに向き合うことがルーティン化されていきました。意外にもラウンド前にはあまり緊張せず、部屋を探して移動してモーションを読んでプレパする、目の前のタスクをこなすように取り組んでいたら自然と一つ一つのラウンドが消化されていくような感覚が近かったです。


●R5 OG 3位 THS the increasing prominence of data journalism at the expense of qualitative journalism

Info Slide: Data journalism is a type of journalism reflecting the increased role that numerical data has in the production and distribution of information in the digital era. It reflects the increased interaction between content producers (journalists) and several other fields such as design, computer science and statistics. On the flip side, more traditional forms of journalism are qualitative in approach, focusing more on interpretation and contextualisation.


 このラウンドはOGとしての一番いいケースがあまり掴めないまま15分のプレパが終わってしまいました。ラウンドとしては相手にはシンガポールの知り合いなどもいて結構楽しかったのですが、このケースあんまりだな、と思いながらスピーチをしたので全然満足できませんでした。なんとか4位を免れてよかったです。チェアのTin PuljicはDiscussionにも本当に真摯に向き合っていて、OAも本当に上手かったです。


●R6 CG 3位 In developing countries with a history of ethnic, racial and/or religious tensions, THP a change of power from dominant political parties

Info Slide: For the purposes of this debate, dominant political parties are ones that have won multiple elections and have been in power for a long time. We will assume power can be handed over in a fair election.


 OGのチームが上手だったので、CGとしてLikelihoodが低そうな"Violence増える"というHorizontalケースを出して、あまり評価されなかったという流れでした。もう少し戦略的になれていれば少なくともOOは抜けたなと思っています。この試合でもオーストラリアの知り合いの人に当たることとなり、ラウンド後の雑談タイムは楽しかったです。二日目の時点で10点なので、なんとか最終日に希望を繋ぎました。


●R7 CO 1位 THBT it is in the interests of Taiwan to pursue friendlier ties with China (e.g. economic, political and cultural ties)


 何度も触れたことのあるような台湾モーションでよかったです。OOの段階では抜けていたイラストレベルでのニュアンスとCounterfactualを詰めつつ、細かいメカニズムを詰めました。このラウンドはClosingとしてうまくいったなという実感があるラウンドでした。3日目はOAをその場で聞くことができないので、結果はわかりませんが、多分大丈夫だろうという気持ちで次のラウンドに望むことができました。


●R8 OO 3位 TH, as an average individual in the world today, would prefer to be immortal


 このラウンドも結構いい感じに行ったつもりで、やりやすいポジションのOOだったこともあり、丁寧に基本的な立論を立てることができた実感でした。しかし蓋を開けてみれば3位。結局その後フィードバックをもらうことを忘れたため、なんで3位だったのだろうと疑問が残る試合となっています。


●R9 CG 1位 THBT the internationalisation of intellectual property law brings more harm than good

Info Slide: Intellectual property is a category of property that includes ‘intangible’ creations of human intellect. There are many types of intellectual property including patents, copyrights and trademarks. The ‘internationalisation’ of intellectual property law refers to efforts to make intellectual property rights universally applicable, including the widespread use of treaties to recognise intellectual property rights across different jurisdictions, the creation of the World Intellectual Property Organisation, etc.


 このラウンドは本当に自信がありませんでした。ラウンド中にextensionする内容がない、という感じになり、Kotaroくんに「ごめんエクステンションないわ」と言いました。バブルラウンドで、対戦相手には Tokyo B (Rina&Yuichi)。バックタブした雰囲気14点部屋っぽいこともわかっていたので、このラウンドが終わった後は本当に絶望感が強かったです。


●Break Night

 私はブレークしてなさそうと思っていた上に疲れも溜まっていたのでBreak Nightのパーティーには参加せず、部屋で後輩数人と集まってまったり会場のライブ配信を見ていました。スペインの生ハムを食べながらぼやっと見ていたところTokyo BがESL Break。良かったなーと思っていると、ちょうど新年が明けた時間位に自分達のOpen Breakが発表されました。びっくりして叫びながらホテルの部屋を駆け回りました。Break Nightに参加していたKotaroくんとは電話でおめでとうと言いました。その後も長い間実感がわきませんでした。


●PDOs CO ○ THW allow democratic governments to overturn supreme court/constitutional court decisions with a simple majority in the legislature


 OOのケースがContextが限られているものだったので、広く当てはまるケースをできるだけわかりやすくたてることを意識しました。ラウンド中にKotaroくんに渡されたメモの話を軸に政策に一貫性がなくなる、政党がどんどん協力せずにExtremeになっていく、CFのreferendumなどの話をたてていきました。Tokyoのみんなが応援にきてくれていたことも頼もしく、結構自信のあるラウンドで、結果通過することができました。


●Octos OG × THP a focus on societal factors (e.g. socioeconomic factors) as opposed to individual factors (e.g. personal history) when addressing the causes and consequences of mental health issues


 このラウンドは本当に尊敬するディベーターのLSEのチーム、Stanfordのチームと対戦することとなり、本当に楽しみな対戦表でした。とりあえず結果にこたわらずにこのラウンドは楽しもうね、という話を二人でしながらプレパに入りました。個人的には得意な分野でOGもやりやすいモーション。アイデアもたくさんあり、とても気持ちよく自分らしいスピーチができたラウンドでした。Kotaroくんのスピーチもとてもよく、ラウンドが終わった後にはわんちゃんいけるかもね、という話をしていました。結果は3-2 SplitでLSE Aに負け、ここで私たちのワールズは終わりとなりました。悔しい思いもありますが、それ以上にOctofinalまで来ることができたこと、尊敬するディベーターと本気で戦うことができるレベルまで来られたことが嬉しかったです。


 翌日にはGFの観戦にいきました。会場の雰囲気からディベーター一人一人のスピーチまで全てがかっこよくて、いつかこのGFのステージに立つことができたらなという気持ちが芽生えました。

Closing Partyには参加したのですが、とても楽しかったので日本に帰ったらクラブに行ってみよう、と思ったもののそれから行かずに3ヶ月が経ちました。



  1. 感想、ディベートとの向き合い方について

 

 自分が目標にしていたWUDCである程度の結果を残せたことは嬉しいものの、何よりも自分の記憶に強く残っているのは、WUDCを通して実際に会うことができた人と実際にその会場にいることによって感じた熱量です。自分と同じく、ディベートという競技が大好きで、本気で取り組んでいる人たちがこんなにもたくさん世界中から集まってくる空間はとにかく楽しく、自分が普段からやっているディベートという一つのスポーツに何かより大きな意味を感じさせるものでした。刺激的で、学ぶことも多かったので対面の海外大会は再び参加したいなと思っていますし、ぜひみなさんにも一度でいいので挑戦してみてほしいなと思います。


 ワールズから3ヶ月くらい経っている頃にこのブログを書いているのでディベートとの向き合い方などについて考えることが色々ありました。WUDC前は一寸の迷いもなく、自分の全てをディベートに捧げるような生活を私はしていました。その当時の自分にとっては普通になっていたためなんとも思わなかったのですが、今思うと結構自分を追い詰めすぎていたなと感じることがあります。私は基本的にのめり込みすぎてしまう気質なので、全力で取り組むと決めた以上、少しでもサボっていたら自分を責めてしまい、休んでいるはずの時間などにも自責の念が消えませんでした。元々楽しいと感じていたことや友達などと遊びにいっている時間なども時間を無駄にしているのではないかという不安感があり、あまり楽しめなくなっていました。Imposter Syndromeが激しく、常に(今でも)自分のディベートの実力に全く自信がないため、少しでも多く頑張らないといけない、と感じ続けてしまうことも原因だったののかなと思います。このようなストイック(?)さによって結果を残すことができるのは事実ではあると思いますが、たとえ目標が達成できたとしてもその時の苦しさが帳消しになるわけではないということを強く実感しました。メンタルヘルス的によくない上に、周りの人との関係性に影響が出てしまったり、ディベートに取り組む上でも燃え尽きやすい取り組み方だったなと感じております。

 ディベートを全力で頑張ることは楽しいことも多く、達成感も得られる素敵な取り組みです。しかし、ディベートへの取り組みは生活の一部です。他に大事にしていることがあってそっちを優先することがあっても、常に100%、120%で取り組んでいなくても、本腰を入れてない時期があっても、それも素晴らしい全力の取り組みです。


 最後になりますが、私は本気でディベートに取り組む人を心から応援しています。もしディベートについてでも、ディベートについてでなくても何か質問/相談したいことなどがあったら、私に面識のない方でも是非ご連絡ください。Facebookなどであれば返信できるはずです。これは私が大学生である期間に限らず、将来、私がこの文章を執筆している何年後でも本気でディベートを頑張っているような方であったら大歓迎です。


 日本からWUDC優勝チームが出る日を楽しみにしています。








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