T.I.Tech Cup報告及び感想

どうも、何事からか逃げるかのように関西に帰省しているなうの無能で写真収集を今まで人に任せてサボってたツケが回ってきたでおなじみ新ブログ担当の得永でございます。こんばんは!
最近はこのブログの読者数の多さに改めて気付かされまして、というのも実は我らがUTDSの部員の保護者様も結構読んでくださっているらしく、僕の帰省中のブログが一番面白かった。という評価を受けたとのことですので、これからは僕の試合の感想は出来るだけ控えて、とっとと本題に移ることをモットーとしたい今日この頃でございます。

さて、今日はこの土日に開かれましたThe 12th T.I.Tech Cupの報告と感想レポートを掲載しようと思います。

T.I.Tech Cupというのは、その名の通り毎年東京工業大学が主催している大会で、何と言ってもその最大の特徴はやはり、OB/OGがチームに入っているということであります。そのため、現役だけの試合とは違い、まさに無差別級の、大変ハイレベルなラウンドが繰り広げられるということで、チームキャップが厳しいこともあり各大学ともに大変力を入れるレベルの高い大会でもあります。

今回我らがUTDSからは、
Tokyo A 井戸・石河・井上
Tokyo B 田中・井口・櫻井
の2チームが出場し、
Tokyo Bが見事Quarter Finalistになりました!おめでとうございます!

さてさて、今回は一年生ながらTokyo BのWhipをつとめて大変苦労なさった櫻井さんからの感想がさっそく届いているので、お届けしようと思います。レベルの高いラウンドの中で、彼女が何を感じ、そして何を学んだかということがよく伝わる、大変勉強になるものになっています。それではどうぞ。




 こんにちは。UTDS1年の櫻井です。UTDS会長からブログを書くように任命されました。2月18日、19日にかけて行われたタイテックカップで感じたことを、今回初めて挑戦したwhipについて感じた事を交えつつ報告させていただきます。

 私はTokyoBのチームでこの大会に参加させてもらいました。一緒に組んでくださったのは、4年生の田中さんと、同じ1年生の井口くんでした。冬Tのチャンピオンでもある田中さんや梅子でスピーカープライズを受賞している井口くんと組めるという、なかなかない機会。この機会を最大限にいかしたいという気持ちから、自分の中にわくわくする気持ちが少しだけありました。桑が大会前日に言ったように「出来るだけ楽しめたらいいな。」と思っていました。


 しかし…大会当日。楽しむなんていう言葉とは正反対のラウンドが続きます。


R1:Legalize organ trade. Gov. (0-3)
R2:Allow children to have sex change operation. Opp.(1-2)
R3:Indigenous people should be convicted by their own community. Gov.(0-3)
R4:Developing counturies should have the limit to internal migration between urban and rural area. Opp.(1-2)

 どのラウンドもクロースでの勝敗。勝ったかもしれないし、負けたかもしれない。マージンが0.5点や1点のラウンドです。文字通りもやもやしたラウンド…特に1ラウンド目で負けてしまい、他のチームの勝敗次第ではもう負けは許されない状況下、とても楽しむことなどできません。特にどのラウンドを通しても自分がチームの足をひっぱってしまっている事を感じていました。ジャッジの方からも、こういう接戦ではWhipの役割が重要だし、君のWhipでは勝てない、負けになる、と教えていただきました。
 
 確かにWhipを私がするかどうかは直前まで懸念材料の一つではありました。特に相手チームのセカンドスピーカーは上級生やOBである確率が高く、Whipがその上級生に(唯一)反論することが可能な人となります。逆にwhipが反論できなければ、相手が提示したことが無傷で残ってしまします。仮に反応したとしても、その反応が不十分であれば、最後まで残ってしまいます。特にGov.サイドのwhipの場合、前のスピーカーに上手に反応できなければ、高い確率で負けてしまいます。
 
 それでもチームとして、セカンドに田中さんが入る必要があり、セットアップが大切なAsianにおいては、ずっとリーダーをやっていて上手な井口くんの方が適任、なら櫻井はWhipを頑張るしかない、という結論に達し、Whipに挑戦することになりました。ところがwhipが具体的に何をしたらいいのか、BPのwhipやNAのReplyとどの程度どう違うのか、そして何よりプレパの時間をどう使えばいいのか…分からない事だらけでした。それでも先輩方に見ていただいたのをはじめ、他大の練習に参加させていただいて上級生やOBの方からアドバイスをいただいたり、テスト期間中にも関わらずたくさんの人に自主練に協力してもらったおかげで、少しずつwhipに慣れていきました。2月に入ると私のするWhipを褒めてくれる同期や先輩もいらっしゃいました。そのことがすごく嬉しくて、もしかしたらタイテックカップでもいい感じでwhipができるかもしれない、とさえ思っていました。
 
 ……甘かった。大会当日は、セカンドスピーカーの出すイシュー、マターの多さに翻弄され続けました。マターもそう簡単に切れるようなマターではなく、しっかりと具体例や理由をつけて話されています。思わず、うんうん、と頷きたくなってしまいます。更に私が考え付くような範囲の分析に基づく反論は田中さんのところで簡単に出尽くしてしまいます。新たな分析…そんなのすぐには思いつきません。しかも反論を考えている間にも相手のスピーカーの話はどんどん進んでいきます。どうしようもない私に、田中さん、桑の二人が交互に反論を提供する始末に。その反論を聞いている間にも相手の話はどんどん進んでいきます。相手の話が終わったときには、一体どういう話をしたのか、もうよく分からない…パニック体験と恐怖体験を組み合わせたような体験です。特にR3でジョナサンさんにたいするエンゲージをGWとしてしなければならない状況に置かれたときは、本当にもう、非常に困りました…
 
 四苦八苦してかなり迷惑をかけてしまったWhipではありましたが、少し分かったこともあります。
1.Whipはまず直前のスピーカーにちゃんと反論すること。反論しなきゃ上述のように無傷に近い状態で最後まで残ってしまします。当然のことでしょうが、私はそれすらできませんでした。
2.臨機応変に対応すること。自分たちのインパクトが弱いと感じたら、そこをNEWととられない範囲で補強したりする。比較して見せて自分たちの優位性を示すなどする。
3.そして何よりどこを崩せばいいのか、何を守りたいのかを考えてバランスをとること。平坦に全体に反論することも必要でしょうが、相手のここを崩せば相手のハームが立たない!!と思ったらそこに強く反論すること…そのためには
4.ラウンド全体をしっかり聞ける力、反論しようと思ったらすぐに話せる語彙や表現力、そしてその反論の信頼性をあげるための知識などが大きく関わってくるということです。
 
 結局は英語力、経験、知識。どのロールをやるにしても大切なことが土台としてないとだめなのだな、と強く感じました。そこが私と同期の上手なスピーカーの人との違いであり、そして勿論上級生の方とも大きく違うところなのだな、と思います。そしてその点を、自分が2年生に進級して一応上級生になるであろう今、力をつけなければならないポイントでもあるように感じています。


 ラウンドの話に話を戻します。ラウンド中は相手のまさかのスタンスに驚くこともありました。R2(子供の性転換手術の許可)では相手の一橋の方(Gov)が、親の同意が必要な事が問題、というおそらくかなりLiberalな国を想定してのケース設定。こちらとしては、相手は親の同意を必要とする、というDef、定義を想定していたので、PMスピーチの7分間の間に全く正反対のスタンスに転換せざるをえなくなります。こちらが用意していたマターもだいぶ消えてしまいます。私の用意していた反論もほぼ消えました。リーダーの井口くんは短い時間で何とか対応し、田中さんも現状の分析やケース自体に対する分析を行い大分SQの肯定はできました。私は少し時間があったので対応できたつもりではいましたが、相手のハームやどうしてそれが悪いのかという話を守り切れた感じがしませんでした。さらにやっぱり相手のセカンドの上級生の方に話を理解できていませんでした。予想外の展開…あとで伺った相手の方の話から総合すると、こちらのスタンスを読んだ上で自分たちのスタンスを優位にするためにこういうスタンスを組んだようでした。このR2から分かったことは、
1.スタンスは自分のアーギュメントを決める上ですごく大切、つまり土台になる、ということと、
2.臨機応変に対応する力が大切で、それはファーストのスピーカーだけに求められるのではなく、チームの全員に求められる、という事でした。
 
 スタンス、という話に焦点をあてると、1番印象に残ったのは、最後のサイレントラウンド(発展途上国の自国内の移動に対する制限)です。相手の方の現状の分析は急激な移動が問題であって、移動自体がゆっくりであれば移動そのものには問題がない、だから制限をかけるだけだ、というスタンスをとっていました。このことを押していたのは主にPMとGWの方だったように思います。こちらとしては田中さんの言うように制限をかければ一部の人しか状況を変えるチャンスを与えられない事が問題なのだ、という事を全面に押し出す必要があったように思います(ラウンド終わってから思いました)。でも私が全面に押し出してしまったには、移動を自由にすることの重要性。みんなにチャンスが保障されないのはだめ、という事にも触れてはいたものの、それがメインではないスピーチをしていました。そしてそこを相手の方がリプライでガンガン押していました。そのラウンドは、勝たなければブレイクの可能性が確実になくなるラウンドでした。相手のスタンスをあまり考慮しないで言った他の反論がたいして有効だったとも思えず、エンゲージの面でかなり不利な状況にしてしまったと感じました。そして負けてしまっただろうな、と思いつつ帰りました。でも、仕方ないとも思いました。実力が不足している以上、どうしようもなかったのです。そのことを痛いほどわからせてもらえただけでも良かった。それでも、やっぱり自分のせいでブレイクできなかった、本当に本当に申し訳ないと感じました。後悔はない。この大会に向けてできる限り練習はした。でも責任を感じざるを得ない、満足はできない、そんな気持ちでした。


 だからブレイクアナウンスの時にTokyoBの名前が呼ばれたときは、本当に驚いたし、安心しました。ただ最後のラウンドは差0.5点という僅差で、やはりエンゲージは不足していたとの事。そしてすぐにQFが始まります。相手は私でも名前を知っている有名な早稲田の方たちです。それでも今度こそ自分が足を引っ張らずに勝ちたいと意気込んでラウンドスタート。モーションは少し古典的な核兵器をどの国も持つ権利がある、という内容で、残念ながらGov。お互いのファーストスピーカーのスピーチから、IAEAに入って監視をうけるincentiveがどの国にもある、という事と、抑止力のおかげで全面戦争になる可能性が低い、ということを押せばいい、そこに焦点をあてようときめて、相手のセカンドの方のスピーチに集中します。でも、やっぱりマターが多くて…一体何が重要なのか、分からなくなってきます。相手の言った事をメモして、それに対する反論をちょっと書いて、両隣から反論を教えてもらって…うん???今相手のセカンドの方は何について話しているんだろう???と混乱が絶頂に達したあたりにスピーチ終了。はい、私の番。どうしよう?とりあえず田中さんに、ここは絶対に言って、と教えていただいた事を、ほぼイントロも抜きで話して、まとめるのもほぼあきらめて相手のIAEAに対する反論に対する反論と、抑止力の反論にたいする反論に集中して、相手のハームが立たないこと、こちらに利益がある事を何とか言ってスピーチ終了。言うべき内容はある程度含んでいたと思いはしましたが、なんだか元気のないスピーチになってしまいました。
 
 そのあとの相手のWhipの方のスピーチが本当にまとまっていてきれいなスピーチでした。レベル違いすぎると思わざるを得ません。でも更にそのあとの田中さんのリプライが本当にわかりやすくて…多分この2日間の中で1番きれいにまとまっていて分かりやすくて、しかも私が落としてしまった反論をやんわり含んでいて…もしかしたら、と思いました。長いお昼休みの後、結果発表。最後にスクリーンに映し出されたのはWASEDAの文字でした。あ、終わったんだ。悔しさと同時になぜかほっとする気持ちでした。これ以上高いラウンドに入って行ったら、私はスピーチできない、怖い、これ以上混乱したら私は前になど立てない。この2日間、そう感じされられていました。ほっとした自分に腹が立ったし、田中さんや桑に申し訳ない気持ちも最後まで消えませんでした。そんな複雑な気持ちで聞きにいった所謂慶応ラウンド。Whipのスピーチが始まった途端、なんで自分は1年生だからって消極的になってしまったのか、どうしてそんな弱気になってしまったのか、いろいろな気持ちが一気にこみ上げてきました。勿論、慶応の1年生の上手な人がうんと上手なんだっていう事は知っていたし、分かっていたけど、自分のレベルの低さを下級生だからという原因に帰してしまっていた部分があった自分が情けなくなりました。ああいうスピーチの足元にも及ばないけれど、せめてああいうスピーチに近づこうとするもっと明確な強い意志を持っていれば…と思うと悔しくてたまりませんでした。


 なんだか懺悔文のようなブログになってしまいましたが…感じるものも多く、その分実りの多い2日間であった事は確かです。また今まで自分が感じたことに焦点をあててしまいましたが、この大会に出るにあたって、たくさんの人が協力してくれたり、暖かな言葉をかけてくださりました。木曜日のトライアウトと金曜日の本郷練習で落ち込む私を励ましてくれた井川さんやぱにさんにはなんと感謝していいかわからないくらいです。お二人だけでなくラウンドの合間に撃沈しそうな私に声をかけてくれた同期の友達、社会人の方には本当に救われました。確かに全然通用しなかったけれど、Whipとしての練習の機会を得ることができたのは、テスト期間中にも関わらず多くの自主練に参加してくれた同期のおかげです。初めて参加する本郷練習や他大での練習などの機会にも恵まれ、この大会2日間だけでなく、この大会に向けた練習を通じても多くの方にアドバイスいただきました。この場を借りて心からお礼申し上げます。
 
 長くなりましたが、最後に一緒に参加させてくれた方々にお礼を言って終わりにしたいと思います。
 
 田中さん、組んでくださってありがとうございました。田中さんのスピーチやプレパを近くで見れただけでも学ぶものが多かったし、建設的な助言を最後までいただき、私がこれからしなければならない事をはっきりと認識することができました。足を引っ張り続けていたのに、嫌な顔一つしないで優しくしていただきありがとうございました。何もお礼はできないけれど、この部に所属する一人として実力をつける事ができたら、それがせめてのお礼になると思っています。頑張ります。
 
 井戸さん、石河さん、声をかけてくださってありがとうございます。大会中は緊張したり落ち込んだりしていましたが、何故か、いつもみたいに楽しい気持ちになれました笑 アドバイスもしていただき、助けられました。本当にありがとうございます。

 あっちゃん、同じ1年生で出てラウンドの前後や大会前に声かけてくれてありがとう。本当はTokyoAとして参加しているあっちゃんの方がプレッシャーもあったし大変だっただろうに…すごくなごみました!!ありがとう。
 
 桑、最後まで助けてくれてありがとう。びっくりするくらい頭の回転も速くて、スピーチもきれいで…練習の時はすごく楽しかったし、大会中は心強かったです。性格とかいろいろ真逆っていう指摘は正しかったけれど、その分この大会を通して話を聞いたりできて良かった、と思ってます。本当にありがとう。


 
 大会終わって昨日の夜はしばらくディベートお休みしてもいいかなって思ってたけど、大会振り返っていたら、またすごく練習したくなってきました。
 
 また練習するのが、今すごく楽しみです。

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