土筆杯を振り返って(part2)
Goede avond. 福元です。幸松が感動巨編を書いて、僕がコメディーをお送りしようかと思っていましたが、幸松がさっぱりと書いてくれたので、今回僕はちょっと真面目にお送りします。適度にオランダらしさもだしつつ。
成蹊大学に入り、顔なじみも多く見かけるOR。みんな割とリラックスしていて、井川・浜野コンビがガールズトークを繰り広げます。僕も慶応の三浦豪に「今日こそリベンジ」と宣言しつつ、一人だけやけに静かな幸松をからかいました。返ってきたのは
「お前気楽すぎでしょ」の一言。
たじろぎつつ、幸松は緊張しているのかと思ったのですが、違いました。見たこともないほど、集中していたんです。
かなりクオリチィの高い開会式と、加藤部長のベストショット(マカオで撮影)に拍手しつつ、今日の幸松は違うな、と思っていました。
1回戦 This house would distribute condoms in school
モーション発表の瞬間、井川さんの「えー!」という声が響き渡ります。見れば、いつも驚くときのような派手なアクションがありません。困っているようです。
一方「ヨッシ」とガッツポーズしたのは富永。この系統では実績があります。佐野もなにやらニヤニヤしています。
さて、我らが幸松は?というと、やはり冷静そのもの。早々とプレパも終わります。
井戸さんや石河さんの見守る中、TMU―Iとの一回戦。井戸さんの期待に反して、幸松はミスなく、落ち着いて終わります。一方僕はタイマネを気にしすぎて焦ってしまい、「幸松じゃなくて福元がエキサイトしてた」と言われるハメに。まあ結果は大勝でした。幸松はすぐにアドバイスをもらいに行きます。
2回戦 長いので詳細は省きますが、ブッシュ政権で拷問に加担した兵士を罰すべきでないというモーションです。
不慣れでプレパは混乱しましたが、始まってみるとPM幸松のフィロソフィーが完璧に聞こえてきます。セカンドも無難に終わり、これは勝ったかと思いました。
ところが対戦相手のSOPHIA―Cが、実に上手で、三重の反論となかなか強いアーギュメントをぶつけてきます。メンバーの負担が重いな、と思いつつ壇上にあがりました。
ここのリコンストが、なかなかうまくいきました。
廊下でしばらく待った後、審判です。メインの議論は反論で弱まりましたが、「二人で押してくれたから」とリコンスト部分を評価してもらって、なんとか僅差で勝ちました。このときは「チームとして機能してきた気がする」との幸松の言葉通り、連帯感を感じたゲームでした。なお、UTは4チームが2勝します。
昼休み
昼も幸松は「勝ちたい」と一人だけ寡黙です。そんな中あるOBの方がやってきました。幸松がAチームだと知って、彼が僕達に名付けた言葉が
「名ばかりA」
決していい気分ではなかったですが、Fの豪華メンバーを見ると、ますます複雑な気持ちになります。
3回戦 ESSは部員が部内に彼氏/彼女をつくるのを禁止すべきだ、というモーション。
オポだったので、ゴールは何だろうかと考えていたのですが、幸松が「長続き」、僕が「英語力の向上」と予想、とりあえずそれらの方向でプレパします。
相手はAGU-C。ゴールは、「部内の雰囲気が良くなること」。あり得る設定ではありますが、幸松はプレパが無駄になったと知って憤慨。目つきはスリザリンどころではなく、独り言もけっこう怖いです。敵に回したくないな、と思っていました。同時に、幸松の執念というか、勝ちへの思いが伝わってきます。
ところが、幸松のPMスピーチは静かに始まり、きれいに終わりました。内容は、個人をターゲットにやっていたプレパの中身を「accumulation」一言で強引に結びつけたものでしたが、もともとプレパの内容が良く、勝ちを決めました。
このモーションでUTF(佐野・富永)がICU-Cに漠然とした「説得力の差」で破れるという波乱があり、3勝で残ったのはUTAとUTDだけでした。UTDは金沢さんが、「私、富永とつきあってるんですけど」という、勝つためならなりふり構わぬスピーチで勝ちを手にしました。(富永は快く許していました)
4回戦 肥満体型の場合医療費を全額自己負担にするモーション。
相手は 三浦・田山ペア 因縁の相手です。
8月の銀杏杯、「カップルには冬より夏がいい」というラブモーションで対戦。PM幸松が、主人公「ダイキ コーマツ」、ゴールを「コーマツの幸せ」に設定。(僕も共犯です)
・PM幸松のアーギュメント
彼女のビキニが見られる、彼女の浴衣が見られる、夏は男の服が安い、出かけられる
・LO田山さんのアーギュメント
男女差別、女の子を無視している、コーマツって誰?そいつの価値観わからない
といった感じで、混乱したラウンドを展開。リプライでは、「スキーウェアとビキニのどちらがエキサイティングか」というクライテリアで理解が困難な熱戦が繰り広げられました。結果として、幸松が9点、僕が10点、リプライは4点に沈み、KDSの2人も巻き込まれて11点ずつという悲劇を生みました。
さて、いよいよ汚名返上です。田山さんのそつがないPMスピーチの後、幸松が格好いい抽象論を展開。この日の幸松は全く隙がありません。三浦豪と僕が補強にまわって、盛り上がったラウンドになりました。勝敗ははっきりしないものの、田山さんが、「これなら負けてもいいかな」といってくれました。前回とは大違い。
結果としては、僅差の勝利。全勝です。4勝になったのは、僕達UT-Aのほか、成蹊の2チーム、慶応Cと津田Bでした。
そして表彰式
ベストスピーカーの発表です。
9位 佐野 悔しそうな表情が目に入ってきます。
5位 富永 1人だけ下の名前が画面に出ず、笑いを誘います。
5位 福元 意外そうな「おー」の声。少しだけ満足です。
1位 幸松
一日中渋かった幸松の表情が、みるみる緩んでいきます。
このときのうれしさは本物でした。幸松は誰にもましてディベートに真剣に向き合っていたと思うし(佐野は置いておきます)、やる気を成果に変える具体的な努力を、人一倍してきたのは紛れもない事実でした。自分のパートナーであったことをおくにしても、一番優勝してほしい人が勝ってくれました。(佐野は置いておきます)幸松の今日にかける気持ちもひしひしと伝わってきていただけに、こんなハッピーエンドが待っているとは。
じゃんけんで負けて、盾は失った幸松ですが、副賞のボイスレコーダーに「こっちの方がうれしい」とご機嫌です。
後でバロットを見たところ、すべてのスピーチが7、7で、リプライもすべて7点という、文字通りの満点でした。
そしてチーム順位の発表。
8位 UT-F 実力的にはもっと上を目指していたでしょうから、悔しかったかもしれません。
1位 UT-A
このときはお互いを引っ張り合って喜びました。「名ばかりA」初タイトルです。
いろいろあったけれど、ようやく結果が出せたな、形になったな、と。いろいろ考えてしまいます。
2人で前に出て、賞状が渡されます。
UT、KDS、ICUらいろいろな大学から、「幸松、幸松」と歓声が上がります。
UTは4チームが3勝。個人も全員が中位以上に入りました。UTDSの勢いを感じさせる結果でした。
帰り道、幸松は優勝トロフィーを赤ちゃんみたいに大事そうに抱えて、とても幸せそうでした。やっぱり幸松とでられてよかったなと、幸松と優勝できて幸せだったなと、満たされた気分になります。同時に梅子に出られなかったことが、ちゃんとバネになったかな、と感じさせるトロフィーでした。
コメント
福元大好きだよ(笑)