Melbourne Mini

こんにちは。4年の井戸です。
12/3-5University of Melbourne (Victoria, Australia)で開催された、
Melbourne Miniに関する報告です。
1年の富永君と参加しました。

なお、この日記はディベートに関する事しか書かないので、「メルボルン観光した!町の至る所に日本料理屋があった!ジョンソンの寮でネット使ってる!」的要素は0です。すみません。

1.    大会に関して
普通大会は、○○ Championship (WUDC, UADC)とか××Open (SDO, MDO)という名前が多いですが、この大会はMiniがついてます。そうです。本当に小さい大会です。46チームしか参加してません。しかしオーストラリア人曰く、これでも結構大きい方らしいです。。。
小さい大会だと、それなりにアットホームな感じはしました。小さいOR100人弱のディベーター+ジャッジが集まり、コミもディベーターとして参加たり(モーションはCAが作っているので、運営のコミはモーションを知りません)など、国内大会とは若干違って面白かったです。個人的に一番驚いたのは、ジャッジのInstitutional Conflictは考慮されず、Personal Conflictのみが考慮されていた点でした。通常大会では、自分の大学をジャッジできないのですが、Sydney, Monashのディベーター、ジャッジが大半の参加者である以上、Institutionを考慮してしまうと全ての部屋にジャッジが入らないため、個人的な関係(恋人、元恋人、雇用関係等)のみが考慮されたことです。ジャッジを信頼しているんだなーと同時に思いました。

2.    ディベートのレベルに関して
レベルは、高かったです。
結果(http://muds.whypsloven.net/mm10/results/)の個人得点をみれば一目瞭然ですが、平均75のディベーターが86/100位です。ほとんどのディベーターがアベレージ以上です。ちなみにこの大会の75は、オーストラルの基準の75なので、相当高い方です。(参考までに、ブリーフィングで今大会の85-90はオーストラルの79, 8080-84はオーストラルの77-78点に相当します。)
それを踏まえて大会の上位のスピーカーを見てみると、大会の約1/5の参加者が平均80点超えてます。つまり、化け物がうじゃうじゃいるんです。オーストラルをブレイクしている人が普通に大勢いますし、本大会のベストスピーカーは世界大会の決勝にいってます。それぐらいレベルの高い大会でした。実際本戦のラウンドもレベルが高かったです。分析と具体例がじゃんじゃんでます。そしてOpeningで全てが出そろったと思ったら。。。Extensionでまたさらに出ました。
さて、自分の結果ですが、6ラウンドで5点でした。

。。。\(^o^)

3.    何故オーストラリアのディベーターはうまいのか?
敗因を分析する前に、まずオーストラリアのディベート部について話したいと思います。
今まで結構メルボルンの話だったので、次はオーストラリアの2強のうちの1つのモナッシュの話をしたいと思います(Monash Association of Debaters: MAD)。ちなみにMADWUDC 2008, 2009のファイナリスト、オーストラル2009年優勝するといった、世界トップレベルのディベート部です。ワールドにいったり、オーストラルの話を聞いたり(俺は4年間オーストラルいけなかったんです!!)すると「何故オーストラリアのディベーターはうまいんだろう?」といつも思っていました。今回も実際オーストラリアにきて再度その疑問が浮かびました。
彼らは週2回、練習しています(スケジュールはhttp://www.monashdebaters.com/training-schedule.php)。月曜日はディベート理論のレクチャー/Internal competition(部内大会)、水曜日は’matter training’(特定のイシューに関するレクチャー)を主にやります。ちなみにMADに所属している人は約500人、そのうちディベートにコミットしている人は50人だそうです。それぐらい人がいるので部内大会を回すことができるんだと思います。。。
「あれ?2の練習で世界大会とオーストラルで実績残せるの?」と思った人もいるでしょう。俺も思いました。梅子に向けてほぼ毎日金沢さんと猛練習し、梅子が終わってもなお世界大会に向けて頑張っている富永を見ていると、週2の練習をコンスタントに行って80点台のスピーチを毎回出来る事に関して、疑問が深まるばかりでした。
この差はどこから生まれているのでしょうか?
(ここからは持論です。内容が正しいかはわかりません。勝手な推測です)

理由1: 高校からディベートを始めている
少なからずある程度あると思います。
去年の世界大会を優勝したシドニー大学の2人は、高校生世界大会に出場し、大学でも主要な国際大会で勝ちまくってました。R1にあたったモナッシュの人も、2009年にアテネで開催された高校生世界大会でトップ10スピーカーにはいる強者でした。(彼はGWで俺はMOだったんですけど、反論まじ怖かったです。)
やはりディベート歴が長いと、強いのは当たり前ですね。大学に入る前に3年間ディベートやってたら、そりゃ強いです。
しかし、これだと一部のディベーターしかあてはまりません。大学から初めて上手くなった人も大勢いますし、長くやってるからといって上手くなるとはあまりにも単調すぎます。なのであんま説得力がないです。

理由2: Debating Societyの教育がしっかりしている
個人的には、こっちなのかなと思いました。
MADMember trainingをもう一度振り返ってみます。’matter training’はその名の通り、知識を増やす練習です。要はリサーチが練習の一部にシステマティックに組み込まれているのです。ちゃんと毎週練習にくれば、知識がつくし、それ以上に知識の重要性が自然と内部化される。大半のディベーターがリサーチの重要性に気づけば、あとは好循環が生まれます。リサーチをするインセンティブがあがる→ラウンドの質があがる→自他含め皆が上手くなる→次の練習に向けてリサーチ→。。。まあ現実的にはこう上手くいくとは言い切れませんが、少なくとも様々なイシューに関してアンテナを広くする、という癖はつくのではないかなと思いました。
でもこれだと全てのイシューに対してリサーチしないと勝てないということになります。向こうも人間です。全てを知っているとはとても思えません(きっと)
そこで次の仮説を思いつきました。それは、全てのイシューに対応出来るようなリサーチをしている、です。
ここでMADが考えた(と言われている) 1st principlesの紹介をしたいと思います。
1st principlesの定義は、Tim Sonnreich(誰もが知っているスーパーディベーター)によると:
(1) A good understanding of the principles of logic (i.e knowing how to show that an argument is logically flawed without knowing any facts about the issue).
(2) A good understanding of the key concepts that form the fundamental ‘clash in the debate
です。簡潔に要約すると、「ディベートの中で守っている立場の価値観を理解する」という事だと思います。Government/Oppositionと考えるのではなく、自分の立場(スタンス)をとるであろう人はどのような世界観を持ち、何を重要視し、何を重要視しないのか、を考えることです。
簡単な例をあげると、’THW legalize prostitution’Govは、「自由主義」「小さい政府」を嗜好する人が取るであろう立場であり、逆にOppは「共同体主義」「大きい政府」を嗜好する人が取るであろう立場だと思います。Govとして小さい政府を支持する人の立場を守るのであれば、そもそも「自由主義」「小さい政府」とは何なのかを理解していなければ守れません。そして、オーストラリアのディベーターは、こうした根本的なコンセプトに対する理解度が、毎回の練習で蓄積されていると思います。だからどのモーションがきても、似たような立場を他のモーションで守ったことがあれば、その汎用性の高い考えを別のモーションで応用できるのではないか、と思います。そしてリサーチをするとき、常に1st principlesを意識しつつリサーチをする。詳しい説明はブログなので書きませんが、守っている立場の理解が深いのが、オーストラリアのディベーターの秘訣なのではないでしょうか。
1st principlesの詳しい説明は、http://www.monashdebaters.com/handbooks.phpに書いてます。

上の1st principleを応用できる、実際でたモーションとして、
THW not provide gov't support for non-vocational tertiary education
TH supports the selection of embryos on the basis of favorable genetic characteristics
THW prohibit all political donations
があります。
言っている内容は国内とほぼ同じです。Embryoのモーションも、Govは親の権利に関して話していましたし、Oppは社会に対する害を話していました。言っていることが同じでも、説得力が国内のディベーターより増しているのは、もちろん的確なWord choiceを使用しているところもありますが、それ以上に1st principleの理解度が深いため、丁寧に無駄のない説明を行っているところにあると思います。そして1st principleから、自分の立場を守る反論を生み出しているのではないかと思いました。そして、この理解が浅かったから、上位に入れなかった最大の要因だと個人的には思います。

通常’Principle’と聞くと、抽象的なアイデアを説明することを連想しますが、この抽象的なアイデアを深く理解しているからこそ、具体的な例や、モーションのApplicabilityを示す事ができるのではないかと思います。オーストラリアのディベーターは、抽象的なアイデアをどのモーションにも上手く応用していると強く感じました。

4.    終わりに
オーストラリアのディベーターは確かに上手いですが、絶対勝てない、というわけではないと思いました。ディベートの捉え方、考え方が一、二段階深いのは確かですが、逆に考えれば彼らの思考方法を正しく身につけば勝てる日が来るかもしれません。

今週の金曜日からSydney Miniに参加してきます。Melbourneで学んだことを活かしてパートナーの佐野と頑張りたいと思います。それでは長文失礼しました。

コメント

abenk さんの投稿…
Hajimemashite
Watashi no namae wa Abenk desu
Watashi wa Indoneshia jin desu
Watashi wa ANDALAS UNIVERSITYkara kimashita
Douzo yoroshiku onegai shimasu