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今日はスーツで決めてバシッとUADCの話です! |
こんにちはー!久しぶりにブログ執筆の仲地です。遅くなりましたが、今回は5月の23日から31日までMalaysiaの首都クアラ・ルンプールで開かれたUADC(United Asian Debating Championship)について紹介させて頂きます。
UADCは、今回で3回目となる、アジア圏の大会で、昨年は澳門で開催されました。日本や韓国、中国など北東アジアのみならず、フィリピンやマレーシア、インドネシアなどの東南アジアの国々も含めたたくさんのアジアの国々の大学が参加するため、大会の雰囲気も国際色に充ちています。
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国際色豊かですね! |
今回、UTDSからは、UTA(井口・仲地・井上)、UTB(谷吉・岩田・船渡)、ジャッジとして高橋正篤が参加しました。結果は、残念ながらブレイクはなりませんでしたが、3日間8ラウンドの予選を通して、それぞれ多くのことを学び、感じたと思います。この記事では、僕目線で、UADCに参加した感想をいろんな角度から述べさせて頂きます。
【1】大会全般について
今回のUADCは、期間中大きなトラブルもありませんでしたし、ほぼスケジュールどおりにきちんと進行していました。これは、優れた運営の方々によって実現されたものと思っています。運営の方々には、大会前から何度も色々なことを問い合わせたり、交渉したりしましたが、その度に誠実な対応をして頂いていました。期間中もラウンドを円滑に回すだけでなく、参加者にパンを配布するなど、仕事は多岐に渡るはずです。本当に感謝です。
また、今回の大会はTateがCAを務めており、Motionも難しいもののやりがいのある楽しいものばかりでした。
さらに、今回コミが用意してくれたホテルは、非常にグレードの高いホテルで、キッチン付き3部屋トイレ3つという装備でした。おかげで10日近い滞在中、睡眠不足等で悩むことは全くありませんでした。ちなみに参加費はそれほど高くありません。大きな大会の開催には、大学や政府等のバックアップも大切だなーと実感しております。
【2】ラウンドについて
今回、僕のチームの予選8ラウンドの出来は総じて悪くなかったとは思います。しかし、結果は2勝6敗でした。この6敗のうち、1敗はMotionの意味を取違え(たらしく)、1敗はMotionのセレクトミス(自サイドに不利すぎました)、1敗は10分プレパ(Gov・Opp両チーム違うMotionでプレパしてたのですが、なぜかこちらが10分、向こうが40分プレパするハメに)といった感じで、比較的納得がいったのですが、後の3敗については、負けた理由がよく分かりませんでした。パートナーもジャッジに質問攻めして説明を求めましたが、釈然としませんでした。
でも、ジャッジを非難するつもりはありません。たとえジャッジがイラジャだったとしても、イラジャにvoteしてもらったチームがいる訳です。元々ディベートはジャッジを“説得する”競技、モデルとなっている議会で言えば、それは有権者です。どれほど論理で勝っていても、人々の支持を得られるとは限りません。そう考えた時、ディベーターには、究極的には、相手を論破するのみならず、ジャッジに積極的に自分たちにvoteさせる力が必要だと思いました。だとすれば、どんなジャッジに見てもらうことになっても、勝つ確率を高めるにはどうしたらいいのか、これをこの大会以来考えていました。
自分なりの一つの結論にたどり着きましたが、“新発見”ではありませんでした。それは、ディベートを初めたばかりの頃から言われ続けてきたことで、より現実的に、具体的に、自分たちの世界を描くことです。つまりSQ分析です。
もし、ジャッジに、“本当にそんな奴いるのか?”“本当にそんなインセンティブあるのかよ?”“本当にこのプラン必要あるのか?”等々の疑問を抱かれ、それを解消できなければ、負けてもおかしくないと思います。
逆に言えば、こうした疑問をプレパ段階から先取りしておくことは極めて重要ではないでしょうか。SQとAPの変化、Motionの必要性といった証明事項は、アクターなどに対する具体的で細かい分析からしか出てきません。でも、実際のラウンドでは、これに気付かず、あるいは暗黙の前提としてスルーしてしまうことがよくあります。
例えば、今回のRound6のモーション、THBT liberal states with sexually conservative communities should
subsidize hymen reconstruction surgery. の場合、なぜそもそもこういったsurgeryを受けたい女性がいて、なぜ今できないのか。この説明を、1行で済ませることなく、ジャッジが納得する程度まで説明しなければ、Oppの非常に単純な“政府が女性差別的政策を推進する”といった主張に圧倒されかねません(というかされましたw)
逆に、今回のRound5、THW ban the use of unmanned combat vehicles(i.e drones) in combat
operations では、Govが「国連が地球上の全ての戦争を自動的に解決する」とでも言いたげな、非現実的な主張を展開し(だったら今、シリアは、アフガンはどうなるの!?笑)、ジャッジを説得することができませんでした(説明は上手ではあったのですが)。一方、Oppだった僕たちの議論は、よく理解してもらえており、勝つことができました。
なぜ、このような問題意識に至ったかというと、今大会の期間中、イラジャ批判で盛り上がったことと笑、僕自身も、非現実的なディベートをあまり好まないからです。確かにディベートでは、相手の議論を突破し、自分の主張を通すことが求められます。しかし、そもそもなぜディベートなる営みをするのかという点に立ち返った時、“よりよい世界を実現する”という、現実社会からの要請があるんだと思います。だから、ディベートでは、現実感を持たせないと勝ちにくいし、特にGovernmentは、SQの詳細な分析を怠ったり、しっかりとしたモデルを示せなかったりすると勝てないんだと思います。
【おわりに】
今回、UADCに参加させて頂いたことで、改めてディベートを見つめ直す機会を得ることができたと思います。特に、海外のディベーターとのディベートは、本当に楽しい経験です。普段、異なる場所で、異なる言語・語彙で、異なる生活をしている人間同士が、英語という共通のツールを使って同じモーションについて必至に考えているという体験は、それだけですごく興味深いことだと思いますし、ラウンド以外でも、会場で、ホテルで、観光で、英語尽くしの旅はすごく楽しいです。ディベート歴の長い人も多く、すごく深い分析を聞いたり、知識量に驚いたりすることもあります。同時に、海外ディベーターの英語力には、圧倒されて、悔しい思いをすることも本当に多いです。
でも、英語はあくまで意思疎通の一チャンネルに過ぎません(負け惜しみじゃないですよ笑)。僕や、全ての純ジャパの人でも、ディベートのために、その他の色々なことのために、ちゃんと日本語で、たくさんのことを勉強したり考えたりしています。そのことには、多少自信を持ってもいいのではないでしょうか。
最後に、一緒に長旅をしてくれたUTのみんなありがとう。そして、UTDSからの2チーム参加のため、UTDS提供ジャッジとして大会に参加してくださった東海大学の綾部功先生に心からの御礼を申し上げます。
わざわざ読んでくれたみなさん、ありがとうございました。またお会いしましょう/
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長旅もよいものですね! |
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