ジェミニ杯感想③

今日は、UTAの櫻井さんによる、大ボリュームの大長編です!
こんにちは。2年の櫻井です。69日、10日にかけて行われた2年生大会、Gemini Cup の報告をしたいと思います。今回はブログ担当の会長から、詳しい結果などよりも、どういう風に練習してきたか、そして大会で何を感じ、何をつかんだのかについて焦点を当てて書いてほしい、という趣旨のことを言われました。なので、これらの点(練習の内容と大会当日のこと)を中心に報告をした上で最後に個人的な思いを述べたいと思います。


まずは練習についての報告です。
今回の大会の Honorable partners は、桑と仲地でした。二人ともUTの中でも安定してすっごく強いspeaker。組むって決まった時から、嬉しさ半分、信じられなさ半分の気持ちでした。と同時に、絶対に二人の足を引っ張らないようにしよう、少しでも勝ちに貢献できるようなスピーチをしたい、と気を引き締めました。

 Tが終わって練習開始。まず最初にしたことは3人で部室に集まってこれからどう練習するかの相談でした。この時手帳を見てびっくり。案外練習できる日は少ないという事実。仲地と桑はUADCでマレーシアに行くことになっていたため、実質練習できるのは20日かそこら。だからこそ、一つ一つの練習を活かさなければならない。このような状況で、チームとして気を付け続けたことが主に2つ、個人的に心がけ続けたことが2つあります。

まず、チームとして練習から大会当日まで続けたことについて書きたいと思います。

(1)  練習をした後にパートナーの間できっちりリフレクをすること、またはジャッジの方が下さったアドバイスを一緒に確認すること、共有しなおすこと

(2)  練習をした後に、そのラウンドでどこが一番Uniqueなポイントだったのか、どこを押すのが一番良かったのかを考える時間をしっかり作ること

(1)についてですが、Partnerは一緒にラウンドをこなしている以上、前のラウンドでjudgeの方に注意してもらったことも共有しています。前の注意を活かせているかどうかを一番よく判断してくれるのがPartnerなのだと、少なくともこの大会に出るにあたって私は強く感じました。

私の場合、桑、仲地から、「今のラウンドは押しどころが違う。」「New Refute Newに聞こえない、もっと別のWardingにするべき。」「前回はjudgeに帰結がわかりづらいって言われていたけど、今回はわかりやすかった。」「またDLOengageしてない。」「POIとらないよね~。取った方がいいと思うよー。」「もっと相手の一番したにあるロジック切らなきゃ意味ないから。」「今回はクラッシュの作り方違うでしょ。」などなど、数えきれないほどたくさんのアドバイスをもらいました。何より自分でよかった点と悪かった点を継続的かつ客観的に判断することは難しいために継続的にアドバイスをくれる存在は、自分のスピーチを改善させるうえで非常にありがたい存在でした。

(2)についてですが、この作業は個人に任せられていたと思います。ラウンドをやりっぱなしにしないで、一つ一つポイントを吟味してみること。例えば、このポイントがスタンスに本当に直結していたのか、比較する時に相手のケースと自分のケースをどういう視点で比べたらjudgeに自分のケースの方がいいと思ってもらえたのだろうか、や、別のアクターはいなかったか、そしてArgument Refuteどちらにももう一行ずつReasonを付け足すには何を言えばいいのか、などなどを考え直してみることでした。


これら二つの作業はGeminiの当日、ラウンドとラウンドの間、または9日の夜にかけてまで一貫してチームとして行った作業でした。チームとして不足した点を一つ一つのラウンドから抽出してある程度一般化したうえでそれを修正するという作業。理論としては最も効率的ですが、地道すぎて継続するのは難しい作業だと思います。でもこうした作業を踏んだ、少なくとも踏もうと意識し続けたことは、一つ一つのラウンドに充実感や課題意識を与えてくれましたし、そのことによってまたディベート自体を楽しくしてくれました。もちろんこれも仲地と桑の緻密さあってこそです。練習たくさん一緒にしてくれて本当にありがとう!!

この後もFeedbackは欠かしませんでした!


 次に個人として気を付け続けたこと2つについて書きたいと思います。

(1)  そのために今何をすべきか、プレパ時間に何ができたか、を考えること

(2)  今までもらったリフレクやアドバイスを活かすこと

(1)(2)は非常に似ています、インプットとアウトプットの差です。

(1)ではjudgeさんから言われたこと、例えば、「もっとCompareして勝ちを示してほしい。」と言われた時、さてCompareってHow?そしてそのHowを実現するために生じるBurdenは?それをクリアーするためにPrep.で何をすればいい?そのPrep.を円滑化させるために今日帰ってから私は何をする?音源を聞く?ゆっくり考える?今までのノートを見直す?まるでディベートでプレパをする要領で自分のスピーチのためのプレパをする感じです。もちろん簡単には答えが出なくて、自分でもちっともどうしたらいいのかわからなくて、そんな時は同期の仲間、先輩方に助けを求めました。というか自分で答えに辿り着いたことなんてすごくレアケースで、いつも誰かに助けてもらいました笑。

そんなふうにして見つけた課題を(2)で実践してみる努力をする。ここでやっていたことはすごく単純なことで、プレパ用紙の上4分の1くらいのところに課題を箇条書きにしてからラウンドをしてみる。ラウンドが始まると少しIrrationalになってしまうので、注意書きにまで注意を払う余裕があったのか、と聞かれると、困ってしまいますが笑、自己満足のレベルでも小さくでも前に進めているのかな、という感覚を持つことができました。

以上が練習についての報告です。


以下大会当日の報告に移ります。

会長からの質問に戻らなければなりません。「大会で何を感じ、何を掴んだのか。」

感じたことはあまりに多すぎて、掴んだものは言葉にするにはあまりに曖昧すぎる、というのが正直なところです。その上で、自分が掴めたのかも、と思えたことについて言葉にしてみたいと思います。

主に2つ、だと思います。

(1)  なぜ基本SQ-AP, Impactは大切なのか?

(2)  Whipって結局何だったんだろう?

まず(1)についてです。
Motionが複雑になればなるほど基本を忘れがちですが、逆にmotionが複雑なほど大切にしなくてはならないのが基本だと改めて感じました。そもそもディベートにはGov.Opp.がある以上、Gov.Opp.で違わなきゃいけない。何が違うのか。その基本にあるのがSQ,APで何が一番変わるのかという点にあり、その違いを示す上でSQ,APAREAで説明するのは道理だし必要なことなのかな、と強く思いました。

具体的にこうしたことを感じたのはRound3,QFでした。QFTHBT the protection of the environment should be considered a mitigating factor when sentencing eco-terrorists.(Opp.)では、Prep.中には、このディベートはIntention(Purpose)ResultCJSの観点から話すディベートになる、という意見で早々に一致したのですが、それがどうmotionにリンクしてくるのか、どうして、そして特にどの部分がSQ-APで変わるのか、そのPhio.らしい話がなぜ大切なのか、という大本を見ないままにラウンドに突入。ラウンドが進めば進むほどSo whatWhipは勝ちどころを抑えないままのスピーチでどこかふわふわした印象に。ラウンド終わって振り返ってみると、何が変わるのか、といういつもしていた確認作業を今回はみんな文一CJSだけに怠っていた感が否めないという、笑いたくても笑えない事実。分析自体は深く出ていたにも関わらず、最後の最後までそれがどう優位になるのかはっきりさせられず、むしろどこを押したいいのかも分からず、見せ方にも失敗してしまった、情けなさ過ぎて、応援に来てくれていた先輩や同期にも申し訳なくて…

度思い返しても行き着くのは、このmotionで何が変わるのかを理解できていなかった、ということ。それは基本をいつもほど意識していなかったから派生したことで、もっと詰めるとSQ-APPhio. のディベートとした時点ですっ飛ばしてしまったこと。Phio.の大切さの見せ方は、単純にどうやるのか分からなかった、もし分からないことが分かっていたら皆でPrep.中考えられたのにそれも分かっていなかった。私は比較的自分が基本を大切にしている方だと自負していましたが、その自負があっけなく崩れていったと同時に、基本がなぜ大切なのかを考えさせられるラウンドになってしまいました。今も、基本の恐ろしさを考えています。

(2)に移らなければなりません。私はおそらくWhip2年の中では長くやっている方だと思います。そのため何度もたくさんの方からリフレクをいただいているのですが、そのたびになんとなくjudgeさんによってWhipに求めるものに偏りがあるのかな、という気がしていました。それは今も変わりません。それでもなんとなく今大会を通じて共通する点を感じることができたように思います。それは、コンストラクティブspeakerは勝つために必要なことを言う、Whipspeakerは勝つために必要な作業をする、というイメージです。このことを意識できたのはRound2, Round4, OFでした。

Round2THBT voting eligibility should be based on the passing of civic tests instead of age(Gov.) DLOまでではラウンドはSQ.APlogicで分析しているGov.APのハームをキレイなイラストやword-choice伸ばしてきているOpp.という状況にありました。Judgeの方の表情を見ても五分五分で、もしかしたら感情に訴えてくるOpp.の議論の方が強く残ってもおかしくはないかな、と感じました。

この流れのままではもってかれるかもしれない。冷静にならなきゃだめだよ、と言い聞かせて深呼吸。自分にできることは何?…Whipだってたまには試合をひっくり返せる(By金親さん)。そしてなぜか思いついたのは、桑と仲地の分析を有利なフレーミングで見せる手はないか、ということでした(←この方法を教えてくれたのはWADの曽田さんです)。……あったっ。きっちりバリューのディベートっぽくし直して、相手のSQ、つまり相手が肯定すべき世界を肯定していないと見せること、その上でこっちがSQ.APつまり両方の世界を比較していて、バーデンを示していると見せる方法(←これと類似する方法は春Tの練習の時に佐野さんが教えてくださいました)。よし、これで相手がネガティブだって少しは印象操作できちゃうかも。でもそれじゃ不十分かな。こっちの都合の良いように向こうの議論をコンストして、それを切ることで、クライテリアのディベートだったっぽく見せられないかな?(←この方法を教えてくれたのは谷吉!)…あった。相手がAgesupportしてて子供にVoteさせないのはある程度Ability Baseで考えているからじゃん!よし、いい感じ。それで相手のハームをなんとかしないと。相手のイラストはすごく上手だけど、logicはシンプル。そこをきりにいけばいい。(←相手の切る場所を見ることはTitechの時に田中さんに教えていただきました。) この時そのイラストがすごくシンプルなlogicにのっかっていることをきちんと言う事(←これはKDSの富本さんや文さんに教えていただいたこと、そして仲地、桑に言われ続けたこと)。あとは負けてるかも、と思ってもドヤって顔でスピーチすること(By加藤さん)。いける。Engageの内容もそこまでNewっていうわけじゃない、勝つために必要な要素は前の二人で出そろっている、それを丁寧につなげて(by会長、船渡)、得意なイラストで補強して(by井川さんとパ二さん)Refuteっぽくデリバーして(byこうきさん)、コンパリして(by石河さん、吉丸さん)、勝つために必要な作業をすればいい。なんだか今までいただいたアドバイスが少しずつつながっていった気がします。

自分のサイドを押す、深めるところまでは至りませんでしたが、それでも、大会でWhipをやって初めて、Whipらしい仕事ができたのかも、そう思えるスピーチができました。少しほっとしました。そして(怒られてしまうかもしれませんが)何より桑と仲地がめっちゃ褒めてくれたのが実は今大会の中で一番嬉しかったです!(^^)!


(1)では基本の大切さを思い知らされ、(2)ではなんとなくだけれどもWhipが何をしなければならないのかについて考えさせられました。両方ともその影だけでも分かったような、分からないような、でも確実にこの大会の前よりは何が必要なのか分かったような気がします。大会に出て掴んだのかな、と思ったことは以上の2点でした。

以上が大会についての報告です。

櫻井さんのWhipスピーチ



ここまでで、会長からのBOPは果たしたつもりです。なので、最後に個人的な気持ちを書きたいと思います。

まず一番言いたいこと、それは、先輩方、ありがとうございました。同期のみんな、ありがとう!ということです。先輩方をはじめ、たくさんの方がアドバイスをくださったからこそ、ラウンド自体がすごく楽しくなっていきました。メールでもプレパ練でもラウンドの練習でも直前の直前まで建設的なアドバイスを下さった先輩、いろいろと迷っていることを嫌な顔一つしないで聞いて下さった先輩、春Tの帰りの中央線の中でWhipについてとおとん応えてくれた先輩、QFJudgeの人に全然頷いてもらえなくてすごく不安だった中、オーディエンスの後ろの方から大きな声でHEAR HEAR!!と叫んでくださった先輩。る・る・る~と言って元気にしてくださった先輩。感謝してもしきれないほど感謝しなければなりません。本当にありがとうございました。

そして同期の人に。わたしはこの環境にいれて本当に良かったな、と思います。たくさん一緒に練習してくれる人がいたからこそ、少しずつだけれども前に進むことができたのだと思います。アドバイスもたくさんもらいました。困っているときに声をかけてくれたのも同期でした。Whipどうしたらいいのか、何をしたらいいのか分からない、どうしよう、となったとき「君ほどWhipやっている人なかなかいないでしょ、」と言ってくれたのは同期の正篤でした。大失敗したスピーチのあとにも「さくちゃんはWhip基本安定してるから大丈夫だよ~」と言って励ましてくれたのはやっぱり同期だったし、「さくちゃん、今日Whipからジェノサイド発動したね~」と言って調子に乗らせてくれたのも同期(こういう発言は主に会長ですが)でした。本当にいくらレジュメを読み漁っても具体的にどうしたらいいのかは書いていないし、海外のWhipはなんか違いすぎるし、思うようになんてなかなかできないし、そんな中でも自分の中の課題を一つずつつぶしていこうという気持ちを持てたのは、一緒に笑ったり考えたりしてくれる同期の存在が気持ち的に余裕を与えてくれたからにほかなりませんでした。本当にありがとう。

また同期のすごさ、私のいる環境の良さにも改めて気づかされました。それは特にUADC中のことです。UTDSからは2チーム+Judge7人がマレーシアに旅立ちました。比較的時間割の合いやすい文一勢がごそっと消えたために自主練は実施困難。それでも誰かかれかが、「自主練しませんか?」という内容のめーりすを流し続けていました。人数がそろわなくて練習できないときも、プレパの練習をしたり、リーダーのスピーチだけをしてみたりするなど、できることをできる範囲でやろう、という気持ちでみんなが練習していました。周りの意識の高さを感じずにはいられません。

はというと、パートナー二人とも海外出張中、留守番組はWhip過剰という状況で自主練でWhipをすることはできませんでしたが、代わりにJudgeをする機会をもらいました。Judgeをしていると、今まで気が付かなかった同期のいい所に気が付くことができました。例えばいいWording,具体的なコンパリのやり方などです。またWhipについてもある程度継続的にJudgeの視点からWhipを見てみる、というのは貴重な経験だったように思えます。こういうごちゃった種類のラウンドではWhipがこんな風にまとめてくれるとなんとなくVoteしやすいんだな、とか、とるかとらないか迷うレベルのアナリシスは切りきってくれると相手にVoteしにくくなるし、残りっぱなしだと相手にVoteする理由になりえるんだな、Even ifを言われるとJudgeAgainstしにくいんだな、など、たくさんのことを考えることができました。そのおかげで、なかなかラウンドで練習できない不安をある程度払拭することができました。本当にみんなで頑張ろうっていう気持ちが私を最後まで後押ししてくれました。ありがとう。


そして誰よりお礼を言わなければならないのがパートナーの二人です。
桑はタイテックから、春TGeminiと結局助けてもらいっぱなしでした。ごめんね。半年間嫌がらず諦めずアドバイスをしてくれてありがとう。これからBPの季節になってコンストできない私が桑と組むことはもうないのかな、と思うと少し寂しいですが、もし万が一組むことがあって、結果を出せたら、その時はブログ書いて下さい。「俺がブログ書くuniquenessない。」とか言わないでね笑、ブログ書くのによく考えてみたらuniquenessとかそこまで考慮する要素じゃないと思うから。

仲地、一緒にどうしたらいいのか、考えてくれてありがとう。Judgeの人からfirst speakerから話が発展しなかった、二人は繰り返しているだけ、と言われたとき、それが事実であったとしても生じるMental Burdenshareして、じゃあ次どうしようか、って前を向かせてくれたのは仲地でした。仲地は覚えているか分からないけれど、BP Noviceの帰りの電車で、いつか一緒に組んでブレイクしたいな、っていう話したの覚えていますか? あのときから仲地はプレパの時話しやすかったし、実際このGeminiでもスタンスの確認を念入りにしてくれました。スタンスとのコントラを心配せずにRefuteも出せたのでやりやすかったし、楽しかったです。ありがとう!!


このチームは一緒にご飯食べに行くこともないし、談笑するようなチームでもなかったのは事実です。むしろ誰がどのロールをやるのかで五月祭の真っ最中に地下室で揉めるようなチームでした(揉めているうちに地上では五月祭が終わっていたりした笑)。でもきっとお互いがお互いの努力を認めてくれるようなチームだったのだと個人的には思っています。私は二人を信じてラウンドに臨んでいたってはっきり言えます。こんなチーム、確かになかなかないね。梅子のトライアウトで逃したときからうっすらと意識し続けていた大会で、まさかこんないいチームで出れたなんて嬉しい限りです。本当にありがとう!!

本当に強いチームでした




最後に…
 

 チームとして求められていたものは、得られたわけではありません。

 自分がこれからどうするか、その答えもまだ得られたわけではありません。



 それでも確実に得られたものが、今、ここに、ある。



この報告では得られたものについて書いてきたつもりです。思った以上に長くなってしまったのは、報告をしようとすればするほど、多くのことを考えずにはいられないからなのだと思います。もしかしたら、私は自分が思っている以上に好きになってしまっているのかもしれない、そんなことを考えながら今回の報告の筆をおきたいと思います。



最後までありがとうございました。

コメント

匿名 さんのコメント…
R2のwhipはマジで良かったよ!
by こーき
匿名 さんのコメント…
こーきさん!!

ありがとうございます!!
Whip失業前にこうきさんの前で,
頷いてもらえるようなスピーチが一回でもできてめっちゃ嬉しかったです(*^^*)
練習会などを通じてたくさんご指導いただき、ありがとうございました!!

櫻井